自分の会社のロゴを、デザインしてもらいたい。


こう思ったときに、あなたは誰に依頼しますか? 身近にデザインを得意とする人がいれば、その人にお願いすることもあるでしょうが、一般的には、デザイン会社やフリーランスのデザイナーに依頼することが多いのではないでしょうか。



では、デザイナーがどうやってロゴをデザインするのか、ご存じでしょうか?


これまで、ロゴデザインの制作過程については、デザイナーがインタビューや自著で自ら語ることはありましたが、実際の打ち合わせの場で具体的にどのようなヒアリングが行われているかまで、語られることは少なかったように思われます。

勝てるロゴデザインは、ヒアリングから始まります。今回、代表の前田高志とクライアント様との間でのヒアリングを前田デザイン室のイベントにて公開で行いました。その様子を再構成してお届けします。


お産は、助産師の仕事の2%

前田:岸畑さんって、会社経営の傍ら、現役の助産師としても勤務しているんですよね。びっくりしています。


岸畑:はい。ちょうどこの週末も、夜勤に行っていました。土曜日の15時に病院へ行って、翌朝9時まで働いています。現場では、毎日いろんなことが起こっていて、いろんなことを学んでいます。そこから社会的な課題を実感し、この会社を立ち上げた経緯もあるので、現場から離れてしまうと課題感が薄れてしまう怖さがあるんです。

それに私は助産師として、まだまだ未熟ですので、臨床経験をもっと学んでいきたいという思いもありまして。

前田:すごいですよね。会社を創業する前に、たしか大学院にも行ってましたよね?


岸畑:はい。私は香川県出身で、香川大学で看護師と保健士の資格をとった後、一度、起業しました。その際にビジネスの可能性を感じて、特に助産師のスキルは、これからの社会にとても大切と感じて、経営学と助産学を学びたいと思い、京都大学の大学院に行きました。

いろいろ勉強させてもらって3年ぐらい働いた頃「10年後に起業しよう!」と決意したんです。でも、社会的な課題がたくさんあることを目の当たりにして、前倒しで起業することにしました。


前田:「私がやらねば誰がやるの!」ということですかね。素晴らしいです。
今まで赤ちゃんを、何人ぐらい取り上げられたのですか?


岸畑:自分の手で取り上げたのは、ちょうど100人を超えたぐらいですね。
でも、助産師の仕事って、赤ちゃんを取り上げるだけではないのです。お産は、助産師の仕事の2%ぐらいなんですよ。でも世間では、この2%が100%ぐらいに伝わっているのが、とてもモヤモヤしていて。


前田:お産と切り離せないのが性教育ですが、先日、「ジニー」というボードゲームをデザインさせてもらいました。このボードゲームはWith Midwife社さん企画なのですが、プロジェクトでのやりとりを通して性教育の概念がとても広いことを知りました。性教育って、教える側の知識が足りていないから、なんかフタをしてしまう感じがあります。

岸畑:そうですね。子ども向けの性教育だけでなく、大人向けの性教育もあります。性教育をやっている人は多いですし、絵本や本などもいろいろ出版されて、わかりやすく伝えようと取り組まれています。でも、やっぱり教育になってしまっています。一方的に教えて、自分事として受け取られていないような気がしていて。

人って、基本的に教育に興味がないと思うのです。だから、体験から入っていけるようなものを作りたいと考えて思いついたのが、ボードゲームでした。性について学べるボードゲームを作りたいと思い、ボードゲームの開発をされている株式会社NEXERAの飛田さんにご相談しました。


前田:飛田さんとは、前田デザイン室のプロジェクト「Desig-win(デザウィン)」というカードゲームの制作でお世話になりました。また、その前だとNEXERA社が開発・運営されている「マーケティングタウン」というボードゲームのデザインもさせてもらいました。


岸畑:性教育のボードゲームを作るためには、絶対にデザインが大事! だからデザインをデザイナーさんに頼みたいと飛田さんにご相談したら、前田さんをご紹介いただきました。それで初めて前田さんとzoomで打ち合わせをしました。めちゃくちゃ緊張しながら、前田さん、怖そうだなーっと思いながら(笑)。

前田:お会いしたことのない人からは「怖そう」ってよく言われます(笑)。


岸畑:性教育のボードゲームを作りたいということを、前田さんにお伝えしたら、即、「面白いね!」と言ってくださって。


前田:僕も、妻が妊娠・出産のときに初めて知ったことが多かったから、ぜひやりましょう!って思ったのです。


岸畑:そのときボードゲームのことを、弊社内にも伝えていないぐらい突っ走ってて、前田さんにご快諾いただいた後に、社内に伝えました(笑)。
それで性教育を学べるボードゲーム「ジニー」のデザインをお願いした時からのおつきあいになりますね。


大事にしてきたロゴを、なぜ変えるのか?

前田:会社のロゴを変える決意に至ったのは、どこにあるのでしょうか?


岸畑:自分で言うのもなんですが、私は助産師に対する思いと社会に対するモチベーションが高くて、ガーっといろんなことを進めていく熱量の高いタイプです。With Midwifeは、そんな私が立ち上げた会社で、会社のロゴもその時に作ったので、ずっと大事にしてきました。


でも、それから2年が経ち、会社を芽吹かせる時期から成長フェーズに入ってきて、私だけじゃなく、たくさんの人によって会社を動かすようになってきました。この先さらに成長していくためには、もっとみんなの意見を集約させていかねばなりません。そこで、新しいことを生み出していこうという今、みんなで勝てるロゴを作りたいと思いました。

前田:人数が増えてきた今、あらためて、みんなで同じ方向を向こうということですね。


岸畑:はい。これを機に、会社ロゴだけでなく、社内の考え方や理念とか、そういうところももう一度、見直したいと思っています。


前田:現行のロゴをデザインされたのは、どなたですか?


岸畑:弊社のブランディングアドバイザーをしていただいている方に、デザインしていただきました。その方は、大阪の某有名デザイン会社に勤めておられたことがあり、今は行政系の起業支援などをされています。

以前、起業の相談で私がその方と打ち合わせをしていたときに、「With Midwifeという屋号はいいね!」と話されている傍らでサクッと作っていただいたのが、このロゴです。瞬間的に出来上がったロゴですが、会社の原点のように思い、大事にしてきました。


前田:そんな思い入れのあるロゴですが、他にも何か今の状況と合わなくなってきていることはありますか?


岸畑:合わなくなってきていることはありませんが、使いにくさは感じています。ただ、ロゴ自体はめちゃくちゃ気に入っていて大事にしてきたので、上手に使えていない原因の80%ぐらいは、私のデザインセンスの無さです。

いろんなプロジェクトを立ち上げて、LPを作ったりしますが、ロゴがページとどうも合わない。新規事業にロゴを入れても、なんか浮いてしまい、なじまない。名刺などでシンプルに使うと合いますが、何かと並べると合わないのです。

With Midwife社のロゴ


前田:新しいサービスが増えてきて、ロゴと並べたときに気づいたということですね。
最初のロゴを見て思ったのが、「W」と「M」が尖っていて強いんですよ。これは新しい助産師のイメージに変えようという意図があるのでしょうが、もっと柔らかくてもいいのかもしれないと思いました。


岸畑:なるほど。あと、他社の企業ロゴと並んだときも、なんか浮くんです。

前田:時代を選ばない形になっているのでしょうね。こういう言い方は好きじゃないですが、最近の旬ではサンセリフ体、ゴシック系のうろこ(セリフ)がない形をよく目にします。ブランドロゴなどでも、シンプルなサンセリフ体がよく使われていますね。


岸畑:あと、まだ悩み事があります。Instagramなどで、1:1の枠内にロゴを入れようとすると、かなり小さくなってしまいます。


前田:そのために、シンボルマークを作ることもできます。シンボルマークとセリフ体を並べることで、印象を変えることもできます。セリフ体でも違うフォントやオリジナルフォントを作れば、十分に対応できますよ。御社には、「ミッション・ビジョン・バリュー」みたいなものはありますか?


岸畑:ちょっと長いですが、「生れることのできなかった、たったひとつの命でさえも取り残されない未来」の実現、ということです。
世の中にあるサービスには、おぎゃーって生まれたときのサービスはたくさんありますが、生まれなかったときのサービスがあまりありません。そんなサービスを作るわけではないですが、その存在を取り残さないサービスを展開したい

助産師って、市場価値がないんですよ。助産師だから受注がたくさんある社会ではないので。だからこそ、助産師の特長である「寄り添う」ということ、医療情報を伝えるだけでなく、その人に寄り添うことをしっかり伝えていき、助産師のイメージを変えていきたいです。

前田:タグラインを作るといいですよ。もっと短い言葉で、ブランドが示す「らしさ」を伝えられるように。Nikeの「Just do it.」や、Appleの「Think different」が有名ですね。これは、お客さんに向けてというよりも自分たちに向けて、自分たちのあるべき不変的な姿を示しています。こういうのを、ロゴを作るうえで、みんなで考えていければよさそうですね。


「未来を作る」のではなく「以前の状態に戻す」。


前田:NASUでは最近「勝てるデザインサービス」という新サービスをリリースしました。その中では、特別なヒアリングシートがありまして。今回も岸畑さんには、事前にヒアリングシートを書いていただいた上で、ヒアリングを行っています。そのヒアリングシートに加えて聞きたいことを質問していきますね。

With Midwife社が、もしこの世からなくなったときに、誰がどんな損をしますか? 逆に言うと、With Midwife社が存在することで、誰が幸せになっているかということです。


岸畑:弊社がなくなって損をすることは、現状においてはないかなと思います。まだ、社会に認知されていないので、存在してもしていなくても、社会にとっては同じフェーズにあると思います。でも、数年後、十年後をイメージしたとき、With Midwifeがないと、まともに子育てできないし、仕事と家庭の両立もできない、生きていくために欠かせない存在になっていたい思いはあります。


前田:それが、With Midwife社の存在意義ですね。

岸畑:家族のような……第三の家族みたいな感じになりたいんですよ。
旦那さんと自分とWith Midwife、ぐらいの存在になりたいと思っています。社名のWith Midwifeには、「Midwife」だけなら助産師という単語ですが、寄り添うや共にいるという意味の「With」をつけて、「助産師とともにいる人生を増やしたい」という思いを込めています。


前田:御社の企業向けサービス「顧問助産師」は、その思いを実現した取り組みですよね。サービスの対象を企業でなく、一つ一つの家族に寄り添うということは、ビジネス的に難しくはないですか?


岸畑:今は企業向けなので、その企業に存在する家族にはしっかり寄り添えているかなと思いますが、他の企業や一般の人には、まだまだサービスが行き届いていません。でも、My助産師制度というのがあり、一部の自治体では支援しようとする動きもあります。将来的には、これに近いことができたらいいなと思っています。


前田:僕が小さい頃、弟が生まれるときに、母親に連れられて助産師の家に行っていましたよ。生まれたのは病院ですが、助産師のお世話になっていました。昔はそういう感じだったと思います。


岸畑:ですよね。先ほどからどんな未来を作りたいか?みたいなことを話していますが、本当は作りたいのじゃなくて、戻したいと思っています。助産師は、もともと各地域に一人以上存在していて、近くで出産があれば出産のお手伝いをして、子育てに困っていたら駆けつけるし、子どもを小学校に連れていくし、夫婦喧嘩の話も聞くし。


前田:夫婦喧嘩の話まで聞いていたのですか。


岸畑:そうなんです。身近な社会を守る存在だったのです。昔は、参勤交代などの大名行列が通っていても、皆が平伏する中で、産婆さんだけは横切れるというぐらい地位の高い存在だったのです。

前田:なぜ、今のようになったのですか。


岸畑:太平洋戦争で日本が負けて、占領軍(GHQ)が入ってくると、自宅分娩でなく病院で分娩しなさいという命令が出されました。アメリカには自宅分娩という文化がなかったから、理解されなかったのです。これを機に、多くの助産師が病院で働くようになり、病院での出産が99% になったという経緯があります。つまり、自然に移り変わったのではなく、人為的背景によることなので、人為的ならば人為的に戻せるはずと思ったのです。


前田:そんな歴史的背景を知るからこそ、今の時代に、助産師を活かす必要があるということですね。


岸畑:私が生まれた1990年頃には、まだ助産師のことを理解する人がいたのですが、今は、そうではありません。そんな中で、育児不安をもっていたり不妊治療に励んでいる人が増えています。かつて産婆さんが出産以外でやっていたことが取り残されていて、それが社会問題になっているからこそ、助産師を活かす場を広げる必要があると考えています。


前田:僕らの世代はまだしも、助産師のことをよく知らない世代に向けて、助産師の良さを伝えるとしたら何がありますか。


岸畑:助産師がいいなと思うのは、人の痛みがよくわかるところです。生まれてくるところも、亡くなるところも知っています。いろんな人の命という原点を見ているから、思慮深いし、真剣ですし、言葉に温度があるところが尊敬できます。


前田:岸畑さんは、なぜ助産師になろうと思ったのですか。 


岸畑:私が中学生のときに病気をして、将来、出産と妊娠ができないことを知りました。14歳ということもあり、これから普通に結婚して子どもができて、家庭を築くことを夢見ていただけに、とてもショックでした。 その時に、自分の命の使いかたをすごく考えて、自分が産めないなら、産んで育てる人をサポートする側になろうと思ったのです。

前田:何歳でもショックなことですし、特に思春期だから、キツイですね。


岸畑:初めは産婦人科医を目指そうとしたのですが、その頃に、ご近所の親しい方が育児放棄されて、逃げ出してしまった事件が起こったのです。このとき周りの人は、その女性のことを責めました。私はこれに強い憤りを感じました。この女性は、子どもを産むという、私がどう頑張ってもできないことを成し遂げているのに、なぜ周りの人たちは助けなかったのか?と強く思いました。

そこで、じゃあ誰が助けられるのか? どんなタイミングで助ければ、その人のためになるのか?を考えました。女性から母親になる瞬間は出産です。出産のとき、一番近くにいるのが助産師です。助産師の可能性の大きさに惹かれて目指すことにしました。これも14歳の時の話です。


前田:14歳で、すごいなぁ。今、ビジネスとして何に力を入れていて、この先はどうしたいですか。


岸畑:弊社のメイン事業は「顧問助産師」です。まずは、この事業を伸ばしていきたいです。私たちがやりたいことは、人々の暮らしの中に助産師を戻すことです。そのためには、「戻しかた」が大事です。

ご近所さんが誰かもわからないほど地域のコミュニティが希薄化している今の日本の中で、強いコミュニティはどこだろう?と考えてみたら、会社だったのですよ。ご近所さんよりも、隣のデスクにいる人のことの方がよく知っているのですよ。だから、まず会社というコミュニティに助産師を戻していこうというのが、私たちの第一歩です。

これを足掛かりにして、どんどん暮らしの中に助産師を戻していきたいです。会社であればビジネスにもなりますからね。


前田:なるほど。近所のコミュニティが機能していないから会社という発想がスゴイ。素晴らしいというのももちろんですが、ビジネスとしてもすごいから。シンプルに頭いいなぁって思ってしまって(笑)。

岸畑:うちのメンバーは、みんな優秀なんです(笑)。


前田:今後、With Midwife社がさらに展開していくためにも、新しいロゴが必要と。これは、デザインの価値を感じてもらっているからこそと思いますが、ロゴを変えることに何を期待されていますか。


岸畑:歴史的背景、社会的背景によって、助産師のイメージが間違ってしまっています。古きを知っている人は産婆のイメージ、最近の人は病院の中の人のイメージになっていて、現代の助産師の可能性を理解している人が少ないのが現状です。デザインの何がスゴイというと、知らない人に伝えられることです。私の周囲10メートルぐらいの人には、私の口から伝えられますが、知らない人に伝えるためにはデザインの力を借りなければ難しいです。そこへの期待感があります。


前田:デザインへの理解が深くて、スゴイです。


岸畑:社会課題に対するエンパワーメントというか、潜在能力を引き出すことが大事と思うのです。今、多くの企業さんがそこに苦労されているようです。やる気のない社員さんが多かったり、アイデアが出てこなかったりで、会社の力を出し切れていないような。そんな中で、デザインに可能性を感じています。

例えば、かっこいい名刺があれば誰かに渡したくなるし、かっこいい会社だったら、そこで働いていると自慢したいじゃないですか。だから、助産師のことをもっと伝えていくためには、With Midwifeでこんな大切なことに取り組んでいると、プライドをもってやってもらうことが大事と思っています。


前田:プライド、確かに現行のホームページは、クールというか、これまでの助産師のイメージから変えようとしているなと感じました。


岸畑:よかったです。


デザインの種は、好みや趣味の中に潜んでいる。

前田:僕がヒアリングするとき大事にしていることは、過去、現在、未来です。過去、現在でぶれていないことは、未来でも同じ可能性が高いので、そこに共通しているものを探しますロゴは未来のために作るのですからね。それから経営者の個人的なことも聞きます。例えば…、そうだな。岸畑さんは、車を持ってますか?


岸畑:めちゃくちゃ好きなのですが、今は持っていないです。


前田:何の車が好きですか? 僕が何でも買ってあげますよ(笑)。


岸畑:じゃ、ランボルギーニのウラカンで(笑)。

前田:めちゃスポーツカーで、フォルムがかっこいいですね。


岸畑:家にミニカーを並べたりしていました。中学生くらいからずっと好きで、いつかこれに乗れるぐらい、人として成功したいと思っていました。


前田:かっこいいのが好きなんですね。決めつけではないですが、仮説として、こういう王道が好きなのかなと。


岸畑:確かに、かっこいい王道が好きかもしれません。


前田:こういうのって、自分のアウトプットに反映されたりしますから。では、インテリアは、どんなのが好きですか。


岸畑:白が多いです。ガラスの鏡とか、白×ガラスのものが多いですね。キラキラ透き通って、星空やオーロラとかも好きなんですよ。


前田:そこは女性的ですね、ランボルギーニと違って。好きなものはストレートな印象で、わかりやすいまっすぐな人だ。


岸畑:確かにまっすぐかもしれません。今、デザイン占いされてますか(笑)。


前田:趣味とか志向に合わないと、テンションも上がらないじゃないですか。


岸畑:確かに。私、ロゴもそうですけど、デザインが良くないと、テンションが上がらないんです。妥協できないというか、これでいい!ってなれなくて。

前田:サービスもアウトプットも、すべてがつながってますからね。じゃあ服はどんなものを買いますか。


岸畑:最近、忙しくて全然買えていないのですが、ナノユニバースとかユニクロとか、シンプルなものが多い気がします。


前田:柄物とか着ないのですか。


岸畑:柄物も着ます。花柄とか(笑)。


前田:おー、やっぱりストレートだ。花は何が好きですか。


岸畑:どストレートと言われそうですけど、バラとか好きです。


前田:あー、やっぱり。ぜんぜんひねくれていないですね。直球しか投げれないピッチャーみたいな。


岸畑:そうなんです。指摘されたら、すぐ落ち込みますし。


前田:お笑いとか好きですか?


岸畑:私、お笑いを見ないんです。すごく申し訳ないのですが、生産性がないと感じてしまうんです。


前田:え!そうなんですね。


岸畑:だから、任天堂さんのゲームで遊んでいても、英語や漢検とか教育系のゲームしか遊んだことがなくて。

前田:なるほど、じゃあ映画は見ますか。


岸畑:映画は好きですよ。人の人生を学べるので。学ぶことで、人に寄り添えるようになるので。


前田:学びで見てるんですね。


岸畑:私は、人のためにしか頑張れなくて。だから自分のために何かをしてしまうと、自己嫌悪してしまうんです。あ、でも昔は小説家になりたくて、空想の世界を考えたり、書くのが好きな時期もありました。読書感想文とかファンタジーで書いてました(笑)。


前田:今はそうじゃない理由はなんでしょう?


岸畑:きっと、14歳で生産性を重んじるようになったからかもしれません。死とか生を実感したから、生産性のあることをして、命に紐づけようと思ったのかもしれません。


前田:なるほど。確かに、ボードゲームの「ジニー」を作っているときも、なんかファンタジー感がありましたから。そういう根っこがあるのですね。よくわかりました。


助産師のイメージを変えて、かつての助産師の姿を取り戻す。


岸畑さんは、このミッションに対する動きを、ロゴを変えることで加速させようとしていることがよくわかりました。今回のヒアリングで、岸畑さんが話されたことに印象的な言葉があります。

「育児放棄の事件が起きて思うのは、何かできることはなかったのか?ということ。助産師は、その何かをするための専門職です。でも今は、何もできていません。だからこそ、何とかしたいと思うのです」


私たちのようなデザイン会社やデザイナーは、直接的に社会課題の解決や改善に関わることは難しいです。しかし今回、岸畑さんのような現場で尽力される方を、デザインを通じて間接的に支援できます。誰かの目的を実現するために、デザインで支援する専門職として、勝てるロゴデザインを制作していきます。

With Midwife社のロゴの制作過程は、今後も継続してNASUメディアでお伝えしていきます。



NASUの「勝てるデザインサービス」の資料は、こちらからダウンロードできます。


〈 文=浅生 秀明(@koantw07)/編集=浜田綾(@hamadaaya914)/撮影=水上肇子(@mi_ha_ko)/レタッチ=吉田早耶香(@_re44)/バナーデザイン=小野幸裕(@yuttan_dn52)〉