こんにちは。株式会社NASUの小野幸裕です。
みんなからゆったんと呼ばれています。以後、お見知り置きを!

僕はNASUでアシスタントデザイナーとして、デザイン業務のサポートをしています。そして、今年こそは一人前のデザイナーになれるよう日々デザインを楽しみつつ、猪突猛進な毎日を過ごしています。

さて、NASUメディアでは株式会社NASUで働く社員が、偏愛について記事を書く、スーパーマニアックという企画を行っています。僕は前回「僕が好きだったCDジャケットは、実はデザインの必殺技の宝庫だった!?」という記事を書かせていただきました。

そして、今回は何について書こうかなぁと迷っていたんですが、ふとNASU代表の前田さんとのやりとりを思い出し、テーマを決めました。

今年の3月ごろ。仕事終わりに前田さんと二人で飲んでいて、好きな漫画について話していた時、僕が『サイケまたしても』をオススメしたのがきっかけでした。

前田さんはその漫画を一気読みしてくれて「面白い!」と言ってくれたのですが、こんな一言も言いました。

この主人公 ゆったんに似てるよね

ん?

僕に似ている…?そんなこと全然考えていなかったのですごく驚きました。

ただ確かに僕が今まで好きになってきた漫画の主人公とも系統が似ています。僕は不器用で、自分には才能がないと思っているけど、頑張っている主人公がすごく好きなんです。サイケも同様に、不器用すぎる戦い方で道を切り開いていくような主人公でした。

ちなみにこの話は前田さんに酔っ払って話していた時に、社内のチャットでチクられていました。

くっ…いつの間に…笑

で、なんでそんな漫画が好きなんだろうな。と考えていたんですが、おそらく自分に重ねやすいからなんだろうなぁと気が付いたんです。

僕もデザインに関しては、まだまだ修行を積まないといけない部分もあるし、人よりも理解力がないから、何度も壁にぶち当たって失敗を重ねてきました。そんな自分に嫌気もさすんですが、そういう時に頑張り屋の主人公をみると、自分と重ねて「こいつも頑張っているし、僕もこんなことでへこたれちゃダメだよな」と勇気づけられているんです。

特に『サイケまたしても』の主人公は自己犠牲をしまくって、不器用ながらも誰かのために行動を起こしていて、周りから見たらヒーローのようにかっこいい存在です。ただ結構主人公の闇が深くて「自分が存在している意味を持たせたいから、誰かのために行動をする」という考え方を持っているんです。

これには僕もかなり共感していて、僕がダメダメな時でも折れずにいられる理由が、誰かに褒めてもらえることで、自分は誰かの役に立っている!と存在意義を感じるんです。

だから、『サイケまたしても』の主人公にはいままで以上の共感を覚えて自分をかなり投影しながら、漫画を読んでしまっていて…。

ん?

あれ?

これって。

僕…?

そう、前田さんに言われた似ているという部分を掘り下げていったら、主人公に自分を投影して「共感」することを楽しんでいることに気がついたんです。

…ということは、この『サイケまたしても』の主人公の魅力を語ることで、自分の自己分析にも繋がるんじゃないか…!そう思い立って、僕はこの漫画の主人公をテーマに記事を執筆することを決めました。

よろしくおねがいします!

※この記事には『サイケまたしても』のネタバレを若干含みます。

『サイケまたしても』ってどんな漫画?

そもそも『サイケまたしても』ってどんな漫画なのか。まずは簡単に説明させてもらいます。

『サイケまたしても』1巻(amazonより引用)

この漫画は、平凡で夢も持っていない主人公 葛代斎下(くずしろ サイケ)が、幼馴染の死をきっかけに能力に目覚めることから始まります。その目覚めた能力は「特定の池で溺死することで、その日の朝まで戻ることができる」というタイムリープ能力でした。

この能力に目覚めたことがきっかけで、様々な能力者たちとバトルを繰り広げていく、といったあらすじになっています。

著者の福地翼さんは以前、『うえきの法則』という漫画も描いていたんですが、アニメ化もされていたので、もしかしたら知っている人も多いかもしれないですね!

『うえきの法則』一巻(amazonより引用)

基本的に福地先生の漫画は僕の大好物の「頑張り屋」な主人公が多いです。だから、その熱量に感化されてしまうんですよね…。

例えば『うえきの法則』は一般人に能力を使うと「才(生まれ持つ才能)」が消されてしまうのですが、主人公の植木は相手が悪いと判断したら、容赦無く攻撃します。

そのせいで「才」は失われてしまうのですが、植木は「才能が無いだけで、その分頑張ればなんとかなる」という考え方を持っています。

かなり励まされる一言です。

出典:『うえきの法則』コミック 2巻より

話はすこし脱線してしまいましたが、『サイケまたしても』の主人公も例に洩れず、頑張り屋です。ただ、今まで少し違うのが頑張る方向性が異常なんです。なぜなら、能力の発動条件が溺死というこれまで以上に過酷な条件なので、主人公 サイケの決意や行動が今まで以上にリアルに感じてしまう。それが『サイケまたしても』です。

リアルゆえに自分とサイケが重ねやすんです…。

今回はその理由を織り交ぜながら、主人公 葛代斎下(くずしろ サイケ)の魅力をご紹介させていただきます!!

自分のために誰かのためになることをする

ひとつ目の魅力は、自己満足のために誰かを救う活動を行なっていることです。これは冒頭でも話した内容と重なる部分もありますが、改めてお話しさせてください。

サイケは元々夢すら持っていないフツーの中学生でした。しかし、能力に目覚めてから自分がタイムリープすれば、誰かの不幸を未然に防げることに気がつき、そこに生きがいを見出していました。

「誰かを救いたい」わけではなく「自分の存在価値を生み出したい」から、不幸を未然に防ぐヒーロー活動をしているのです。

ちなみにどんなに些細なことでもサイケはやり直しをします。

・クラスの花瓶が落ちてしまう
・幼馴染の髪型が変にカットされてしまう
・こどもの風船が飛んでいってしまう etc…

その度に溺死をしていると考えると超クレイジーなのがわかりますね…笑

出典:『サイケまたしても』コミック 3巻より

本来であれば、ヒーローは人を救うための存在なんですが、サイケははっきりと「エゴ」という言葉を使っているので、普通のヒーロー漫画よりも活動理由に人間臭さを感じます。

そんな感じでサイケは人を救うことで自分の存在価値を見出しているので、能力がなくなることに人一倍強い恐怖を感じています。

出典:『サイケまたしても』コミック 3巻より

ただ…これは僕自身も似たところがあります。

僕は誰かに褒めてもらえることで、生きているという実感が湧いてくるんです。ただそのためには褒められるような行動をしなくてはいけないので、実質サイケと似たような感覚を持っているんです。

なので、僕はサイケと同じで「エゴのための正義」はいいことだと思っています。誰かに褒めてもらうためには「いい仕事、いい行動」をしなくてはいけないので、何かしらには貢献を必ずするからです。

自分のための行動が誰かのためにも繋がるんです。

思い返してみれば…。

サイケも僕も学生時代は何も夢がなく、音楽ばかり聴いていて普通の青春や夢を追いかけるようなレールに乗れませんでした。

だから、何か失敗してしまったときに、「お前はいらない」と言われるのではないかと自分の存在価値が否定されてしまうのではないかと、強い恐怖を感じるんです。

出典:『サイケまたしても』コミック 1巻より

ただその恐怖感があるからこそ、やりたいことが見つかった今では立ちはだかる壁に全力で体当たりすることができています。

僕たちには後ろがないんです。
もう前しか見ることができない。

しかもいままでサボっていたせいで、壁を飛び越えるような脚力は培えませんでした。ただ僕たちには持ち前の忍耐力があります。何度も何度も体当たりして、不器用ながらに壁をぶち壊して、夢に向かって全力で進んでいっているのです!

さて…自分と強く重ね過ぎてしまった部分もありますが、この「自分のための正義」をサイケの魅力のひとつとして紹介させていただきました。

狂うほどのタイムリープに耐える忍耐力

この漫画の肝でもある、「溺死」をしないと能力を発動することができない部分にふたつ目のサイケの魅力があります。

前述したようにヒーロー活動をしつつ、さまざまな能力者ともサイケは対峙することになります。ただサイケは身体能力が上がったわけではないので、体は普通の人間です。

ん?じゃあサイケはどう戦うの?

答えは簡単です!
ただ同じ日を何度も溺死して経験して回避するだけです!

めっちゃ狂ってます

そう、異常なんです。どれくらい異常かっていうと、敵からも異常だって言われてしまうくらい異常なんです。

戦いが始まるとサイケは必ず逃亡をして特定の池で「溺死」をします。そして、戻った日に必ず同じことが起こるので、例えば「右のパンチを喰らった」場合、次は避けられるように対処をします。

そうして、地道に死を何度も繰り返して最適案を導き出していくのがサイケの戦い方です。

出典:『サイケまたしても』コミック 2巻より

ここの狂っちゃってるポイントは溺死を何度も繰り返すことと、何度も攻撃を受けてそれを覚えてアップデートしていることです。

溺れて

パンチをくらって

溺れて

パンチを避けて

次はキックをくらって

また溺れて…

うーん、これは異常ですね。

先ほども言ったように能力を授かったからと言って、サイケ自身は身体能力が上がったわけでもなく、知力が向上したわけでもないんです。ただ朝に戻れるという能力だけで、さまざまな工夫や試行錯誤をして困難に立ち向かっていくんです。

出典:『サイケまたしても』コミック 3巻より

多い時は227回も戻ってます。やばい。

ただ、何度も何度も検証を重ねることで最適な答えを導き出すというのは、デザインも同じなんです。だから、デザインをしていない人から見れば、サイケと同じように気が狂っているように見えると思います。

まだアシスタントの僕にとっては、一人前のデザイナーが行うようなサイケの身を削った戦い方には強い憧れと魅力を感じました。

僕はまだ経験不足もありスムーズに答えに近づいていくことができません。なので余計なことも含めて、何度も何度もコミュニケーションラリーを繰り返してデザインを仕上げてきました。

また僕は理解力があまりないので、しっかりと噛み砕いて理解しないと答えがどんどん遠ざかっていってしまうこともあり、みんなに迷惑をかけていると思い込んでしまい、泣きそうなくらい悔しい思いもたくさん経験しました。

僕はデザイナーに向いていない。
僕がいないほうがスムーズかも。

そうやって心が折れそうになったこともあります。

ただそう悩んでいるときに、前田さんからNASUのデザイナー ひさこさんがこんなことを言っていたよという話を聞いたんです。

ゆったんは何度も何度もパンチを喰らわせても、血だらけになりながらノーガードの笑顔で立ち向かってくる。

ニコニコ

こわっ

と思ったんですが、僕はこの言葉にかなり勇気づけられ、自分の強みにも気がつきました。

そう、僕はサイケばりに狂っている。

人間なんで、やはり心は折れそうになることもありますが、その前に人一倍の忍耐力があることに気付けました。

「その一撃目は、仕掛ける場所もタイミングもわかっている」

だから僕はその一撃を理解して、次の検証に活かしていくんです。

出典:『サイケまたしても』コミック 3巻より

正直本当はもっとスケジュールもデザインもスマートに作り上げていきたいです。けれど、僕の性格上難しい部分もあるので、弱い部分を理解して、しっかりとアップデートしていこうと思います。

まだ情けなく、迷惑をかけてしまう部分もありますが、NASUで活躍できるように、サイケばりの忍耐力を活かして僕なりのデザインを磨いていきます。

この忍耐力は僕にとって憧れでもあり強い魅力だと感じたので、紹介しました。

自己犠牲を顧みない心

サイケは最初に話した通り、自分のために誰かを救う活動をしています。そのためには自己犠牲も伴わないと考えて行動をしているんです。

この自己犠牲が最後に紹介する魅力です。

あるタイミングで、サイケは自分の能力に制限があることに気がつきます。そのせいでサイケはタイムリープの回数が限られてしまいます。

それを超えてしまうとサイケは命を落とします。ただ、その回数は自分ではわかりません。

あと何回タイムリープしたら死んでしまうのか。それすらわからない中で、サイケは仲間を救うためにタイムリープを繰り返します。

もうロシアンルーレット状態です。一人しかいないけど…。

出典:『サイケまたしても』コミック 5巻より

なんでそんなに自分を追い込むことができるのか。

色々考えてみたんですが「誰かを救いたい」というサイケの夢が「生きたいと思う気持ち」を上回っているからじゃないかなーと僕は思いました。

そしてすごく共感しました。

自分が持っている夢のためには自己犠牲も伴わないというこの考え方に共感したんです。誰かのために死ねるか…とまではまだ胸を張って言うことはできないのですが…笑

実際の例で言うと、僕は一人前のデザイナーになることが夢ですが、いいデザインを作るためにはコミュニケーションを取ることが必要だと思っています。

ただNASUは元々大阪の会社で、僕はイレギュラーで東京事務所で一人で働いています。なので、ZOOMでしか話をする機会がありません。

だから、僕も自分の夢のためにある決意をしました。

毎月1週間。
実費で大阪へ行って大阪の事務所で働きます!!

これは僕から前田さんに言いました。もちろん、多くの売上を出せるレベルのデザイナーになっているのであれば相談するかもしれないですが、僕はまだそこまでのレベルに達していません。

成長するために実費という覚悟を決め、大阪に出社しています。

それは僕がコミュニケーションを取りたいという欲を満たすため、そして夢を叶えるために必要な覚悟だと感じているからです。

サイケほど覚悟が大きいものではありませんが、サイケくらい強い覚悟を持って僕も行動してみました。

皆さんは自分のための自己犠牲をしたことはありますか?

僕の憧れのヒーロー サイケ

ここまで色々と話をしてきましたが、まとめると結局サイケは自分のためにしか行動していない人間なんです。ただそれが結果的に誰かの幸せにも繋がっているので、サイケの周りにはたくさんの仲間が集まりました。

自分の身を呈して、多くの人が幸せになる道を見つけたんです。

出典:『サイケまたしても』コミック 15巻より

僕も自分のことばかり考えてしまう人間でかなり頑固なんですが、この漫画を見て、「自分のためでも、それが誰かのためにもなる」ということに気がつくことができました。

だから自分の弱い部分で落ち込むのではなく、ポジティブに活かせる考え方を模索して、一人前のデザイナー。いや、サイケのように誰かに必要とされる「ヒーローのような存在のデザイナー」を目指したいと思っています。

おわりに

ということで、いかがだったでしょうか。この魅力を知った上で、漫画を見てもらうと、さらに楽しさが倍増すると思います。

そして、この魅力。
実はNASUのバリューにも通じるものがあるんです。

NASUのWEBページにあるバリューの一覧

NASUでは「コンテンツの魅力を最大化するデザインで成功に導く」というミッションがあります。そのミッションを達成するためのバリュー(手段)として5つが挙げられています。このバリューにサイケの魅力が当てはまる部分を多く感じました。

ハグリサーチ
敵をよく知り、敵のことを理解して受け入れる

アイデアファースト
どんなに平凡な能力でも、思いついたアイデアをすぐ試す

パラレルワールド
何度もタイムリープを行い、検証を重ねる

コミュニケーションラリー
仲間の強みを活かして、倒し方をアップデートする

ウィーアーウィナー
敵を含めて、みんなが幸せになれる方法を探す

NASUではこのバリューを遂行し、サイケのように何度も検証やコミュニケーションを重ね、誰かが成し遂げたい「夢」や「想い」をデザインの力で作り上げていっています。

もし共感を得られるようであれば、ぜひこちらからNASUが行っているサービスもダウンロードしてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
サイケまたしてもは単行本も販売しているのですが、「サンデーうぇぶり」というアプリからもみることができます。ぜひこれを機会に見てみてください〜!!

僕もサイケのようにタイムリープはすることができませんが、これからデザインという武器をしっかりと身につけて、困っていたり、想いを届けたくて困っている人たちから必要とされる「ヒーローのような存在のデザイナー」を目指して楽しんでいきたいと思います。

ゆきひろまたしても。
必ず夢を掴み取ります!!!!