【店づくり】THE BUTCHERのブランディングデザインの話
こんにちは、前田高志です。
アートディレクター/グラフィックデザイナーとして活動しています。
ひとりで両方の役割を意識してがんばっています!
ブラディングには「アートディレクション」と「グラフィックデザイン」、この2つタッグが、むちゃくちゃ重要です。アートディレクターとグラフィックデザイナー の役割はそれぞれ違います。
今回は、僕が担当させていただいた大阪の肉ダイナー「THE BUTCHER(ザ・ブッチャー) 」のデザインについて解説していきます。
これからお店をオープンさせたい人の参考になれば幸いです。
大阪なんば THE BUTCHER(ザ・ブッチャー)
「THE BUTCHER」はどういったお店なのか?
大阪なんばに2016年5月にOPENしたお肉とお酒が楽しめるお店です。
「 BUTCHER」とは、「お肉屋さん(精肉店)」の意味ですが、お肉屋さんが使う「肉斬り包丁」が粗々しい、肉肉しいイメージにぴったりなネーミングです。
個人的イメージですが、モンハンの「こんがり肉」のようないろんな種類のお肉が食べられます。
THE BURGERLION(ザ・バーガリオン)の姉妹店
「THE BUTCHER」は、大阪・阿波座人気ハンバーガーカフェ「THE BURGERLION」の2号店なんです。だからハンバーガーも秀逸なんです。
前にTHE BUTCHERで飲み会 をしたのですが、飲み会とか女子会とかに最適ですよ!
ブランディングデザインを依頼された経緯
知人宅のクリスマスパーティで出会った山口さんという方から相談を受けました。
山口さんはもともと不動産業をされている30歳の若くて優秀な男性なのですが、これから西村さん(バーガリオンのオーナーさん。この方も30歳!)と2人で飲食事業を立ち上げていきたいとのことでした。
「デザインをしっかり作りこんだお店を作りたい。」
つまり、ブランディングをしたいとのこと。
BURGERLION(バーガリオン)のオーナー西村さんが、最初に作ったお店。
「この店、気に入ってないから、作り変えたいんです。」
ええ!?
驚きました。人気店なのに!?
どうやら、デザインに妥協したところがあるそうなんです。
たしかにバーガリオンのグラフィックをみても、「メニュー」、「チラシ」、「ショップカード」、すべてがそれぞれが違うテイストになっていました。なんと、デザイナーがそれぞれ違うらしいです。
これではイメージが分散されて良くないです。
こうなった理由は、「デザイナーがあんまりだった」「デザイナーと連絡が取れなくなった」とか。
さらに、若くして独立したデザイナーは「おしつけてくる」「修正してくれない」「言い訳をする」とか、修行に耐えられず飛び出したデザイナーは、そういった人が少なくないそうです。
一応、前田は約15年近くクリエイティブに超絶きびしい企業で揉まれたので、「修正」「ダメだし」「急な変更」には耐性があります。
超タフですよ!
そういう経緯があって、前田に依頼してくださることになりました。
「ブランディング」は独立して一番やりたかった仕事!
かなり燃えました。
THE BUTCHER(ザ・ブッチャー)のデザインをご紹介
アートディレクションとは、「見た目のクオリティ管理」と「世界観構築」です。
グラフィック関係は、すべてデザインさせていただきました。
- ロゴ
- 撮影ディレクション
- メニュー
- メニュー看板
- チラシ
- ショップカード
- 内装グラフィック
- ユニフォーム(Tシャツ)
- テープ
外装や内装は、前田の専門外ですので(内装のグラフィックは担当しましたが)下地さんというセンスのある方がやられています!THE BUTCHERの世界観を汲み取ってすばらしいデザインです。
ロゴ
「THE BUTCHER」の肉々しい荒々しいイメージは、この「肉斬り包丁」がすべてを象徴している気がしました。ゴロゴロとした肉感が感じられるように。それと、包丁のロゴってインパクトがあって印象に残ります。
この段階で「THE BUTCHER」の見え方の方向性が、ほぼ決まりました。
「包丁」ってちょっと恐いイメージなので「ペロッと舌を出したニコちゃん」を入れました。
メニュー
アメリカンレトロな雰囲気、メニューにおいても「THE BUTCHER」の肉々しい荒々しいイメージです。
中身の写真が全然ない!! ので、松原潤一さんのInstagramより
Junichi Matsubaraさん(@matsubarajunichi)が投稿した写真 – 2016 6月 3 2:08午前 PDT
ショップカード
「ディープマット」という黒い厚紙にホワイトインク。良い感じに仕上がりました。運良くすばらしい印刷会社さん を発見しました。
看板
店の前に設置してあるA型看板です。
タペストリー
こちらも店の前に設置してある特大タペストリーです。
写真撮影のディレクション
使用するデザインを考慮した上、どういう写真が効果的かを検証し、プロのカメラマンさんに意図を伝えます。
香盤表と写真のイメージ
撮影の時には僕もちょっとお手伝い。
内装のグラフィック
チョークアート風にデザインしました。もちろん、ロゴや他のグラフィックと世界観を意識しています。
Tシャツ
オリジナルTシャツを2種類デザインしました。
オーナーの西村さんがABCテレビ「おはよう朝日です。」に出演した時の写真。
肉のイラストにひっそり「29」が隠れてます!
あまり気がつかれない!!
トータルで管理することの大事さ
グラフィックをトータルで管理するとすごい力が生まれます。「わかりやすさ」「おいしそう(シズル感)」「おぼえやすさ」。また、一度来て食べたお客さんはイメージと味を一緒に覚えてくれます。一度本当に美味しいと感じてくれたら、例えばロゴを見ただけで「唾液」を出てしまう。それが理想です。
これがブランディングデザインだと思います。
世界観がバラバラだと、伝えるメッセージが曖昧になってしまします。
デザインを後でやりかえる方が、もっと大変
お店を作ったり事業を立ち上げたりする時、デザインに多額の投資するのは難しいかもしれません。ですが、後からやり直す方が、もっと費用がかかりますし、間違って伝えてしまったメッセージのブレを回収するの方が時間も費用もかかります。
大事なのは、「クリテイティブコンセプト」がブレないこと。費用をかけずとも「クリテイティブコンセプト」さえあれば、ブランディングができます。ランサーズやクラウドソーシングでデザインを依頼しても良いものができるかもしれません。ただ、デザイナーが案件ごとに変わるとなると意思疎通が大変です。デザイナーのスキルもまちまちですから。
今回、オーナーの西村さんの目指す世界観がわかりやすかったこともあってTHE BUTCHERの「クリテイティブコンセプト」は明快でした。あの包丁のロゴです。
僕の場合はロゴをつくるときにいっしょに「クリエイティブコンセプト」を作って依頼者に提案します。ロゴの形も大事ですが、一番大事なのは考え方の部分です。これさえあれば、メッセージのブレを防ぐことができます。
デザイン事務所に依頼するとこんな金額
デザイン事務所に依頼すると、ある程度のクオリティは安心でしょう。ですが、おそらくトータルでしっかり作りこめば、150万円〜200万円以上のコース。ですね。ロゴだけで20万円〜30万円以上すると思います。
デザイン事務所でも理想のデザインを作ってくれる人と巡り会えるかは、わかりません。
金額=クオリティとは限らない世界です。
お店づくりの企画・デザインのご相談についてのご連絡は、お問い合わせまでお願いいたします。