幻冬舎の編集者、箕輪厚介が主宰するオンラインサロン「箕輪編集室」。箕輪さんは稀代のヒットメーカーであると同時に、歌手になったり、かと思えばサッカー選手になったり。僕はかなりの箕輪ファンでありウォッチャーの部類だけど、僕でも追いつけなくなりそうなくらいの動きがある。

新たに箕輪編集室で動きが起きた。

この4月から学生メンバーへの学割枠が、「みの校」という名の学校のような仕組みへと変わる。今回、僕は「みの校」のロゴデザインを担当したので作り方を解説していきます。

完成したみの校のロゴ

本日、「みの校」が開校されました。箕輪さんがロゴのイラストの格好に合わせてきてくれてる(笑)

「学割」というサブのイメージを取っ払う

学校になる前の「みの学割」のロゴ

箕輪編集室では箕輪さんのメジャー案件の仕事に参加できたり、プロジェクトを作って仲間と実行したり、箕輪さんが紹介するゲストの話を聞けたりする。

メンバーには社会人だけでなく、中学生からの学生も参入できる。今まで「学割」枠があった。こちらのロゴも前田が担当。

入会退会が自由だったけど、みの校開始により原則入会(入学)は4月と9月からになった。今回のデザインチェンジは「学割」から「学校」へアップデートされることがキモになっている。

学校のような仕組みにする理由は、ドワンゴ学園N高等学校や、堀江貴文さんのゼロ高等学校など、オンラインの学校がコロナウイルスの影響もあって更に強いコミュニティになっていること、箕輪編集室の学割というサブ的イメージから、強く独立したものとして押し進める上で学校の方が分かりやすいためだ。

それに学校にすることで、相手の年齢や状況が把握しやすいためグループも作りやすくなり、これからますます密度の濃い交流が行える。

「感情のゴール」を目指すとブレない

今回の記事で一番伝えたいところはここだ。

デザインをする時に、ちょっとわざとらしいくらい大げさに受け手の感情を書き出してみる。感情のゴールを設定しておくと何のために作っているかブレにくいから。


今回の、みの校の場合だと

「あ!箕輪編集室がほんとに本格的な学校作るんだ!」
「しかも、古臭くない新しい感じがする学校だね!」


という具合。デザインをする時は受け手がデザインを見てどう感じでなにを考えるか。これをイメージする。想像力は創造力。想像力がデザインを作っていく上で大きなヒントになる。それも、最悪のお客さんの感情を想像するといい。自分のお母さんとか、みの校に全く興味がない人。

そして、想像した感情をちょっとわざとらしいくらいに書いておく。やっぱり感情に訴えかけられるデザインが人の心に刺さる。このわざとらしさが重要で、明確に目的に走っていけるし、振り切ったものがデザインに反映されるから。

本来はデザインする時、ヒアリングをしてイメージを聞いてからロゴを作るけど、以前の箕輪編集室ロゴを作った時も、今回のロゴもヒアリングの前に作った。

箕輪さんと打ち合わせできるのは貴重な時間なのでヒアリングと同時にデザインを提案している。そうすると話が早い。先に作って反応を知りたいし、それで目指しているものが全然違ったら変えればいい。今回も作っていたロゴで問題なくOKをもらった。

箕輪編集室のブランディングに関わる案件は、いまだに箕輪さんから指名で依頼してくれるのが実はうれしい。

前田デザイン室で雑誌『マエボン2』を作った時にも協力してもらったり、前田デザイン室の定例会にもゲストで来てもらったり、最近お願いしてばっかりだったから。ちなみに仕事ではなのでノーギャラ。だからスピード勝負。時間内でできることをやった。

The学校にする

今回のデザインのキモは学割のサブ感からメインにすること。本当の学校らしさってなんだろうって考えた時に、まず浮かんだのが大学などの校章に使われる「学」の旧字体だった。大学の校章にも使われてたりするよね。

今回は学校を作るというのがポイント。学校っぽいね、ではなく本当に学校を作ったような見え方すべきだと考えた。

一番最初に作ったラフデザイン

旧字体を使うと、前述した
「しかも、古臭くない新しい感じがする学校だね!」

という点と、一見矛盾しているようにも思えるが、既存の学校のイメージや格式を感じつつ、箕輪編集室らしさや新しさをデザインで打ち出したいと考えた。

出典元「OK辞典」(URL: https://okjiten.jp/sp/index.html

それからもう少し「学」の成り立ちを調べてみると、最初の象形に入っている「✕」は1つだった。

これは箕輪編集室のロゴと同じなのでラッキーだと思ったし、箕輪編集室だからできるデザインになった。

旧字体と箕輪編集室ロゴを組み合わせて、検証をする。パッと見、たいした差がなく感じるが「本物感」を出すために細部にこだわって試行錯誤する。一部を紹介する。もうちょっとだけ大きい方がいいか、小さい方がいいか。長い方がいいか短い方がいいか。この作業を行わないとこのロゴが良いと確実に言えない。僕のプロのデザイナーの条件とは「良いものを確実にすること」だ。

検証をして、緑の印が付いているものがしっくりときたバランスで、それを全て組み合わせるとこうなった。

もちろん、この「旧字体」の案に至るまで、他のアイデアも考えている。例えば、みの校の「校」も「✕」みたいに交わっているから、ロゴ入れたらどうかなと思ったけど、これは読みにくいし、瞬間で伝わらないからボツにした。

ロゴマークはできたが、学校ということを一瞬で伝わるシンボルが必要だと思った。

B案は「学校」が直球で伝わるシンボルにした。本が乗っているデザインで箕輪編集室だからこそのデザインだ。

ロゴは「旧字体」の案に決まり、この本がくっついた学校も捨てがたい。ロゴと一緒にサブのグラフィックで使用しようとしたが、作ったロゴマークと組み合わせると主役が多すぎてぶつかるし、情報量が多くなってしまうので外した。

こういう時に客観視して、今までの過程をキッパリ捨てられるマインドが必要になる。

舞っているサクラとモミジは、4月入学、9月入学を表したもの。

ロゴにある「mino-kou」の文字にも実はこだわっていて、普通にmacにインストールされているAvenirとかでもよかったんだけどオリジナリティーを入れたかったからフォントを新しく買った。いい岩塩持ってきましたみたいな感じで、ひと手間を加えることで仕上がりが変わってくる。料理と同じ。

使用したのはこちらのフォントです。

さらに「みの校」にしかできないデザインに

ここまで作って、まだこのままだと箕輪厚介のイメージが薄い。

箕輪さんの「みの」は校名についてるし、箕輪編集室のロゴも入ってるけど、もっと箕輪厚介の学校として唯一無二の要素が欲しかったから箕輪さんのキャラクターを入れることにした。

学校だし、コミュニティだし、人を感じる方がいい。

キャラクターを入れたことでみの校のストーリー性が増して受け手の想像力も高まるし、入学しやすくなったはず。

これでロゴは完成。

本当の学校のブランディングはまだ仕事として未経験、そんな機会はなかなかないからね。挑戦してみたい分野だったからやりがいを感じたし、やっぱり何より久々に箕輪編集室に関われてうれしかった。

箕輪編集室ロゴの作り方も過去のブログに書いているのでよかったら見てください。

幻冬舎の編集者 箕輪厚介が主催するオンラインサロン「箕輪編集室」。今回は、箕輪編集室のロゴのリニューアルについて解説します。↑完...

新しく学校になったみの校がどうなるのか楽しみでわくわくする。中3の息子がいるから、みの校に入ったらおもしろいだろうなぁ。

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