トゥモローゲート株式会社の代表 西崎康平さんのYouTube「ブラックな社長」チャンネルにNASU代表の前田さんが出演しました。

前田さんが出演したのは「ブラックな社長」チャンネルの中の名物企画「ヤバいアイツ」シリーズです。実際の身分を隠し、あえてヤバい姿でトゥモローゲートに潜入し、仕事でもダメな姿を披露。後半では、覚醒して通常のイケてる仕事ぶりを発揮するという趣旨の企画内容です。

ヤバいパートでは、前田高志ならぬ「後田低志」として、

こちらのロゴ案を提案。

覚醒して、後半は前田高志として、

約50分で、3つのロゴ案を提案しました。


今回は、YouTubeチャンネル出演の背景・舞台裏を含め、ロゴの提案の仕方についてNASU広報の浜田がお届けします。



まずは、西崎康平 ブラックな社長chの「【ドッキリ】もしも駄目デザイナーが元任天堂の凄腕デザイナーだったら」をこちらからご覧ください。(見終わったら、記事に戻ってきていただけると嬉しいです…!)


はじまりは、Twitterでの直談判

トゥモローゲートの西崎社長と前田さんは、かねてより親交がありました。また、前田さんは西崎社長のYouTubeチャンネルのファンで「いつか出演してみたい。何か提案できないかな」と言っており、実際別の企画をあたためているところでした。

9月に前田さんが室長を務める前田デザイン室では、『勝てるデザイン』のスピンオフ小説『負けるデザイン』のクラウドファンディングを実施していました。この中に「企業に1日インターンに行きます」というリターンがありました。クラウドファンディングの最終日、幸い目標金額には到達していましたが、少しでも支援金額を伸ばすべくあらゆる知り合いにドブ板営業をしていました。

その中で、トゥモローゲートさんにも果敢にアタック!!

すると…クラウドファンディングの枠組みとは別で、トゥモローゲートの常務取締役の西崎隼平さんよりオファーをいただきました。やったー!!


ヤバいデザイナーを全力で体現

西崎さんのYouTubeチャンネルへの出演が決まった際、トゥモローゲートさんから告げられたのは以下の3点でした。

・「ヤバいアイツ」シリーズへの出演であるということ
・普段と違う服装で来てくださいというお題
・撮影時間内でブラックな社長のチャンネルロゴを作る

やると決めたらフルスウィング。全力でヤバいデザイナーの役作りに入りました。

まずは、衣装の買い出しへ。

悪くない…。決して悪くはない。

だけど…、ひょっとすると1周回ってヒップホップ系のちょいワルおやじに見えてしまうのではないか? もっとこう、奇天烈なエキセントリックさが足りていないのかもしれないという、一抹の不安を抱えていました。

前田さん自身も何かが足りないと感じたのか、追加で買い出しに出かけます。明らかにサイズのあっていないちびリュックを購入。そこに事務所に飾っている猿のぬいぐるみをIN。さらに某人気アニメ風のマスクを見に纏うと……。

圧倒的な存在感を放つ、後田低志が完成しました!!

このあと、さらにカツラをかぶることにして、後田低志の役作りは完成しました。

【注意】後田低志は、あくまでYouTube出演のための役作りなので、普段は前田高志として、ちゃんとした格好で仕事しています。


いざトゥモローゲートへ

インターン当日。NASU事務所から後田ルックに身を包み、いざトゥモローゲートへ。

エントランスにつきました。

西崎社長より、「インターン生 後田低志」として紹介を受けます。

さて、ここからロゴ制作に入るわけですが、ヤバいインターン生 後田低志と前田高志のプレゼンをじっくりお届けします。さらに、前田高志目線で、ダメなプレゼントと、イケてるプレゼンの違いを解説します。

ヤバいインターン生、後田低志のプレゼン

まずは、身分を偽った後田低志として、ロゴをプレゼンしました。ロゴができるまでの奮闘ぶりは、YouTube動画を見てみてください。

色々アドバイスをいただいて、今こんな感じになっています。最初このイラストを使っていたんですけど…

トンマナが合わないということで、HPをぐぐって写真がいいんじゃないかと思ってロゴに入れてみました。


私の目から見ても良くないのは明らかなのですが、具体的に何がだめなのか? 前田高志より、ダメポイントの指摘をしてもらいましょう。

<問題がないのに答えられるはずがない>

「YouTube チャンネルのロゴを作って」と言われたことに対しての意図を汲み取っていない。

そもそもロゴはすでにあるのに、なぜ変えようとしているのか? これが今回一番大事なことなのに、把握していないこと。デザインで解決すべき問題がなにか分かってないのに、解決しようがない。

与えられた指示から、どれだけの情報をキャッチアップするか? ができないと、デザイナーとしてはしんどいですね。

わからないことは、聞けばいいんです。質の高いコミュニケーションを多くする。

<ツールは自主勉強で強化せよ!>

それからツールが使えていないことと、ツールの質問をたくさんしているのもよくないですね。ツールは自主勉強で強化すること。ネットで調べたら出てきますしね。どうしてもわからない時はしかたないけれど、誰かに教えてもらうのは教える人のコストもかかります。

つまり、聞くべきこと(なぜロゴを変えるのか?)と聞かない方がいいこと(ツールの使い方)が逆転しています。

あ、でもメモを取る姿勢は偉いと思います!


元・任天堂デザイナー、前田高志のプレゼン

後田モードから前田モードへ覚醒。残り時間は1時間ありません。そんな中、3つの案を考え、提案書も用意しました。ここで、プレゼン資料を全て公開します。

誤)チャンエン流→正)チャンネル (※あまりに急いでいたための誤字です)

前田さんより、ポイントを聞いてみました。

<問いに対して仮説を立て、状況判断をする>

後田モードの裏返しになりますが、まずはなぜこのロゴが必要なのか? 意図に対する仮説を立てました。

それから、複数案を提案することにしました。前田高志モードで制作する時間は、最初実質50分。50分しかないからこそ、1案だけ出して、クオリティをあげる時間はない。であれば、案をできるだけたくさん出して、反応を探ることにしました。問いに対して、今求められていることは何か?の状況判断の仮説を立て、やるべきことに集中したのもポイントです。

<考え方の選択をするためには、提案資料が必須>

それから、当たり前ですが提案書まで作ったことです。「プレゼンをしてください」と言われていたので、時間がなかったとしても提案書まで作ることは最初から決めていました。

デザインだけを見せると、見る人の好みになってしまいます。しかし、今必要なデザインは何か? の考え方を選択するのが大事なので、そのためには制作意図まで説明した提案資料が必要になります。

<プレゼンはエンタメだ!>

プレゼンの仕方も考えました。
A正当進化
B大胆進化
C正当進化2

この順番には理由があります。新しいロゴの提案とはいえ、今あるものをいきなり否定するのは良くないと考えました。だから、今の書体を活かした正当進化から提案しました。

次に大胆進化を持ってきたのは「お!」と驚いてもらうためです。最後に一番おすすめの案を持ってきました。

プレゼンって、する方は必死ですが、受ける方は案が面白くないと正直退屈です。そうならないために、リズムを考えてエンタメ感を意識したプレゼンをしました。

以上で、1日インターンは終了しました!西崎社長、トゥモローゲートのみなさん、ありがとうございました!!前田さん、お疲れ様でした!!

念の為にもう一度申し上げると…、普段はもちろん後田低志ではなく、前田高志として、このような姿で万全の体制で最高のデザインをお届けしております。ご安心ください。


最後に、今回の取材に同行させていただいた目線での感想です。

スケジュール的にタイトな案件でしたが、前田さんは不思議なくらい楽しそうに見えました。以前箕輪編集室で多くのデザインを手がけていた際「仕事のデザインとは別の筋肉を使う。スピード勝負、スポーツをする感覚が楽しい」と言っていたのですが、その時と同じような感じだったのかもしれません。

経営者になると、ディレクターとしての役割が増え、デザインをすることが減ります。だからこそ心の底からデザインをスポーツ感覚で楽しんでいる、そんな風に見えました。

プレゼンの極意は、ここにあり!

トゥモローゲートさんのYouTubeチャンネルの舞台裏をお届けしました。今回のポイントはプレゼンでした。前田さんは、兼ねてよりプレゼンに力を入れております。

画一的な提案ではなく相手の状況、要望を考えカスタマイズしていることがポイントだとか。そんなプレゼンの方法を著書『勝てるデザイン』の中でも書いています。もし今回の動画で、前田流のプレゼンの極意が気になった方は、ぜひ勝てるデザインを読んでみてくださいね。

NASUのECサイトでは、オリジナルフォントが無料でダウンロードできる初版の『勝てるデザイン』が購入できます。書店ではもうあまり流通していないので、気になった方はこちらからぜひ。




〈文・撮影=浜田綾(@hamadaaya914)/バナーデザイン・イラスト=久本晴佳(@hi_sa_ko__)〉