コミュニティの作り方「テックアカデミー」編
9月6日よりオンラインプログラミングスクールのテックアカデミーのコミュニティ「テックアカデミーコミュニティ」が始まりました。
NASUはテックアカデミーコミュニティの設立をサポートしました。NASUはデザイン会社ですが、デザインの力を使った企業向けのコミュニティ事業もおこなっています。
テックアカデミーは業界トップの受講者数を誇る、オンラインのプログラミングスクールです。現役エンジニア講師による充実したコースと、きめ細やかなサポート体制で、ビジネスレベルのプログラミングスキルが身につきます。
「テックアカデミーコミュニティ」は、テックアカデミーの卒業生が学びを共有したり悩みを相談したりながら、学習で得た学びを最大化させるコミュニティです。
コミュニティの立ち上げから始動までの経緯を公開・解説します。
コミュニティは、居場所のデザインである。
NASUのコミュニティ事業は、代表の前田高志さんがコミュニティデザインを担当し、浜田綾さんがコミュニティマネージャー、あるいはアドバイザーとして関わります。
既存ファンの定着化と活性化、新規ファンの獲得など、良い変化を期待してコミュニティ事業を検討する企業が増えています。しかし日本におけるコミュニティ事業は歴史が浅く、ノウハウを学ぶ場も限られているのが現状です。NASUは自社コミュニティ「前田デザイン室」の3年以上にわたる運営経験をもとに、複数の企業のコミュニティ事業をサポートしてきました。
NASUがコミュニティ事業においておこなうのは、コミュニケーションデザインです。人と人を繋ぐコミュニケーションが、円滑かつ有意義なものになるようにデザインします。事業としてコミュニティを運営する以上、もちろん収益は大切です。しかしそれだけを追求してコミュニティの居心地が悪くなれば、本末転倒になってしまいます。
NASUのコミュニティ事業では、単なるコミュニティの枠をつくるだけではなく居場所をデザインすることを大事にしています。その点が、テックアカデミーを運営するキラメックス株式会社さんの理念と一致しました。「会員数だけを追うのではなく、テックアカデミーのことを好きになってくれるユーザーを増やしたい」とのお問い合わせをいただき、コミュニティづくりが始まりました。
浜田さんは前田デザイン室以外にも、多くのコミュニティで運営業務を経験してきた方です。
浜田さんのコミュニティ内のコミュニケーションに関する知見を活かした「コミュニティ設計スキル」と、前田さんが任天堂で培った「コミュニケーションデザインスキル」を掛け合わせ、企業の特色を活かした最強のコミュニティを築き上げます。「デザイン会社がコミュニティ事業をおこなう」のではなく「NASUだからこそコミュニティ事業ができる」と考えています。
「コミュニティマネージャー」と「コミュニティアドバイザー」
今回は、浜田さんが中心となって「テックアカデミーコミュニティ」の立ち上げサポートは始まりました。多くのコミュニティ運営に関わってきた浜田さんですが、コミュニティの運営メンバー「中の人」としてではなく、アドバイザーとしてコミュニティの立ち上げに携わるのは初めてです。
端的に説明すると、コミュニティマネージャーはコミュニティ運営の中心メンバーであり、自身もプレイヤーとして積極的に動く存在。
対してコミュニティアドバイザーは運営メンバーに対して客観的な視点からアドバイスをしたり、知見を共有したりするサポーター的な存在です。
浜田さんは「コミュニティマネージャーは、所属するコミュニティを一番身近に感じている人。メンバーの誰よりも愛を持ってコミュニティに関われる人」であるべきだと考えています。全体を把握する能力や状況判断能力などのスキルはもちろん大切ですが、それ以上にコミュニティの些細な異変にいち早く気づき、その異変を放っておけないほどの愛情を持てるかが何よりも大切です。
「数々のコミュニティ運営に携わることで得た多くの知見を、これからコミュニティ事業を始める方のために役立てたい」と考えても、すべてのコミュニティに深い愛情を持って関わるのは難しいですよね。プレイヤーとしても動くとなると、時間的にも対応が難しくなります。
コミュニティアドバイザーの場合は、コミュニティの運営陣ではありますが、実際に手を動かす運営メンバーではありません。豊富なコミュニティ経験と客観的な視点を活かし、コミュニティの改善策や運営戦略、円滑かつ健全な運営のための施策を提案し、推進のサポートをおこないます。
1年半越しの縁。
実は、テックアカデミーさんとの出会いは、2019年の秋にさかのぼります。前田さんが書いた「株式会社NASUは、コミュニティ事業を始めます。」というnoteがきっかけで、最初にお問い合わせをいただいた企業です。
コミュニティ運営経験はあれど、事業としてはまだまだ駆け出しのとき。そんな時点で声をかけてくださったことを嬉しく思いました。
プレゼンや提案をおこなったのですが、このときは「今はコミュニティを開設する時期ではない」という判断になりました。しかし今年の4月に、あらためてテックアカデミーさんからご相談をいただいたのです。時を経て、ふたたび声をかけてくださったことにご縁を感じました。1年半越しにコミュニティづくりに挑戦する機会を得て、前田さんと浜田さんも気合いが入ります。
誰のためのコミュニティ?
前田さんと浜田さんのふたりで、コミュニティの設計から始めます。コミュニティを設計する際は、コミュニティに参加するユーザー側の目線に立った設計が重要です。
第一に明確にすべきなのは「誰を対象にしたコミュニティなのか」です。テックアカデミーを運営するキラメックス株式会社へのヒアリングを経て、NASUからは「超初心者向け」と「経験者向け」2つのパターンを提案しました。
A案の超初心者向けの場合は、プログラミングへの興味や学びを深めつつ「飽きさせない設計」が必要になります。初心者同士の交流を軸に置いた活動内容を考案しました。
【A案:超初心者向けコミュニティの活動内容】
・初心者同士の交流ができる
・オンライン授業の一部をお試し視聴できる
・未経験からプロになった先輩の話が聞ける
・学習の悩みを相談できる
・技術的な質問ができる
B案では、経験者向けのコミュニティにする場合は、学びを仕事に結びつけて活かせる設計が必要です。知見の共有をメインに、実践的な活動内容を提案しました。
【B案:経験者向けコミュニティの活動内容】
・知見のシェア
・zoom交流会
・仕事の受発注
テックアカデミーの卒業生へのヒアリング会を行い、よりコンセプトに忠実な方向であるB案をもとに「テックアカデミーの卒業生に絞ったコミュニティ」としての始動が決定します。
何のためのコミュニティ?
コミュニティの対象者が定まったので、次は「何のためのコミュニティか?」の部分、コンセプト設計です。
まずは「何のためにコミュニティを作るのか、どんなコミュニティにしたいのか」といった、コミュニティを作る目的から掘り下げていきます。キラメックス株式会社代表取締役の樋口隆広さんに、コミュニティに対する考えについて、ヒアリングを複数回おこないました。
【樋口さんへのヒアリング内容】
・子供のころ好きだったこと
・大学選びや学科選びについて
・学生団体に所属して海外の教育事業に従事した経験について
・オンライン教育に可能性を感じている理由
一見するとコミュニティには関係なさそうな質問もありますが、樋口さんが「コミュニティを通して実現したいことを知る手がかり」を見つけるためのヒアリングです。ヒアリングを重ねるなかで「樋口さん個人の考えを前面に押し出すコミュニティではなく、あくまでテックアカデミーを好きになってもらうコミュニティにしたい」との意向を再確認できました。
また、キラメックス株式会社の社名の由来である「キラメキ(KIRAMEKI)を最大化(MAXIMIZE)」とミッションである「世の中の自己実現の最大化」が、テックアカデミーにおいてもテックアカデミーコミュニティにおいても一貫したコンセプトであることに気づきます。
このコミュニティは、テックアカデミーで学んだスキルを最大化できる場所にしようという結論にたどり着きました。テックアカデミーはオンラインでスキルを学ぶ環境が整っていて、メンター制度の導入や卒業生に向けた仕事の紹介など、手厚い体制を取っています。しかし双方向のやりとりをする場所はありませんでした。テックアカデミーで学んだことを最大化し、横の繋がりを作るコミュニティをつくる方向でコンセプトが決まりました。
会費についてテックアカデミーさんと話し合う際にも「ファンを増やすためのコミュニティ」であることを最重要視し、できるだけ参加のハードルを下げるために、1000円とリーズナブルな金額設定にしています。
どこでコミュニティを開く?
コミュニティを開設する場所であるプラットフォームに関して、複数企業のシステム内容や自社制作の方向を提案しました。それぞれのメリットやデメリットだけでなく、そのコミュニティの活動に添った使い方ができるかを加味して決定します。どのプラットフォームにもメリット・デメリットはあるので、そのコミュニティに一番ふさわしいものをヒアリングしから導き出し、アドバイスすることが大切です。
テックアカデミーコミュニティは「コミュニティ運営の業務をするにあたり使いやすいものがいい」との希望があったこと、またNASUとの関係性の近さからCAMPFIRE Communityがもっとも適切だという結論に至りました。NASUでは、コミュニティ事業において、CAMPFIRE communityと協業しております。
プラットフォームデザインに関して、アドバイザー契約では、NASUではデザイン制作はおこないません。しかしデザインの監修は都度おこない、コミュニティの魅力が最大限に伝わるようにサポートします。
コミュニティは、365日動いている。
「コミュニティは生き物だ」。絶えず動き続け、日々変化する様子からそう言われています。365日24時間、絶え間なくコミュニティを見守るためにはタスクの洗い出しと分担が重要です。
コミュニティ運営のタスクは多岐に渡るため、タスク分担が難しい性質があります。イレギュラーな対応が必要な場合はもちろんありますが、日常的な業務であればパターン化が可能です。
こちらのシートをもとにテックアカデミーさんとミーティングをおこない、各業務における注意点と留意点について解説します。業務の分担方法や、運営を担当する人材の確保についてもアドバイスをおこないました。
人材の確保においては、コミュニティ運営に向き・不向きかを見極める重要性についてもご説明しています。先ほどもお話しましたが「コミュニティの些細な異変にいち早く気づき、そしてその異変を放っておけないほどの愛情を持てる人材」が理想です。全体を把握する能力や状況判断能力も必要になります。
以上の条件を満たす人材の確保が間に合わないこと、初めてのコミュニティ運営への不安があるということだったので、始動後の半年間はNASUで運営業務もサポートしていく体制になりました。
テックアカデミーコミュニティ、始動。
9月6日より、テックアカデミーコミュニティがはじまりました。
浜田さんと一緒に運営サポートに入ったのは、前田デザイン室の運営メンバーでもある相山沙織さんです。ふたりで試行錯誤しながら「テックアカデミーコミュニティにとってのベストな運営方法」を模索し、コミュニティの活性化を図っています。
コミュニティの活性化において重要なのは、メンバー同士の自発的な交流です。テックアカデミーコミュニティは交流の場にFacebookグループを使用していますが、まだコミュニケーションが活発ではないという課題があります。
自己紹介スレッドへの反応を積極的におこなったり、みずから率先して書き込んだりと、気軽に発言しやすい雰囲気づくりをおこなっています。また、メンバー同士のZoomを使用したオンライン交流会も開催し、一方通行にならない、双方向のコミュケーションのデザインに挑戦中です。
テックアカデミーを卒業した方限定となりますが、プログラミング学習を終えた後の交流の場、プログラミング学習を最大化させる場所として最適なコミュニティです。ご興味のある方はぜひ、下記リンクよりご入会ください。
コミュニティデザイン、運営もNASUにおまかせください。
NASUのコミュニティ事業は、たくさんのコミュニティ運営に関わってきた浜田さんの知見、前田さんのデザイン力、そして3年以上にわたってコミュニティ運営をおこなってきたNASUだからこそできる事業です。貴社のコミュニティ事業を全力でバックアップ、サポートします。
「アドバイザー契約」を中心に、2022年以降であれば新規のご依頼を受け付けております。また、必要に応じてコミュニティマネージャーの育成も対応可能です。
コミュニティ事業に興味をお持ちの企業様はお問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。
〈企画・編集=浜田綾(@hamadaaya914)/ 文=成澤綾子(@ayk_031)/バナーデザイン・画像制作=小野幸裕(@yuttan_dn52)〉