ロゴの作り方「箕輪編集室」編
幻冬舎の編集者 箕輪厚介が主催するオンラインサロン「箕輪編集室」。今回は、箕輪編集室のロゴのリニューアルについて解説します。
箕輪編集室とは、幻冬舎の編集者 箕輪厚介が主催するオンラインサロン月額制です。会費を払うとFacebookの会員限定のグループに招待されます。オンラインサロンによって活動内容や特色は違いますが、箕輪編集室の場合は箕輪さんのメジャー案件の仕事に参加できたり、プロジェクトを作って仲間と実行したり、箕輪さんが紹介するゲストの話を聞けたりといった内容です。
僕も2017年7月から箕輪編集室に入っています。「編集室」だからデザイナーが行くのは場違いかなと思いましたが、ちょうど「デザイナーを募集している」というツイートを見かけたので思い切って入ってみたことがきっかけです。THE 躊躇しないキャンペーン。
余談ですが僕はこの後、箕輪編集室でのデザインワークにすっかりハマってしまいます。箕輪さんが投げかける案件に真っ先に食いつき、ものすごいスピードで仕上げていく。提案したデザインを見たときの箕輪さんからの反応は、いつも心地がいいんです。異常な速さのレスポンスと的確な判断に耳の裏がブルっと震える。それがうれしくて去年1年はひたすらこれを繰り返していました。そしてついには箕輪編集室のようなプロジェクト型のオンラインサロンを立ち上げるまでに至ります。
単純に箕輪厚介という編集者のことが好きなのですが、僕の生き方を変えてくれたきっかけでもある人です。だからこそ箕輪編集室のロゴをリニューアルするならぜひとも作りたい。そう心に決めていました。
以前のロゴは、他のデザイナーさんがデザインされたものです。確か箕輪さんが南の島が好きであること、「箕輪編集室は出版業界の黒船になる」という話から制作されたと聞いています。箕輪編集室は、スタートから1年で1000人を超える大所帯となり、映画「箕輪大陸」の制作、1万人を招いての大規模なイベント「1万人飲み会」の開催、公式noteのフォロワーを1万人まで増やすなど快進撃を続けています。
箕輪編集室の活動の指針は当初から変わっていません。モットーは「死ぬこと以外かすり傷」。ただ1周年を迎え、アジア進出などグローバルな活動を視野に入れる一方で、「みの邸」をはじめとするリアル拠点の設立、地方チームの台頭など活動の幅が広がってきました。今のロゴにも愛着があるけど、箕輪編集室の進化によってロゴも進化するタイミングではないか?どんな組織よりも変化のスピードの早い箕輪編集室だからこそ、この段階で志の再定義をする時期に相応しいのでは?そんな風に思っていたとき、ちょうど運営チームからロゴリニューアルの提案をいただきました。
ロゴを新しく作るにあたり、箕輪さんにヒアリングをさせていただきました。箕輪さんから聞いた箕輪編集室のこれからは、こう。
まずは地方チームや部活に入って仲間を作る。そこで楽しく過ごして居場所を見つける。そうして行くうちに、何かやりたくなったら手を動かしてクリエイティブなことに挑戦してみる。
ヒアリングはこんな感じでZOOMでおこなわれました。
イメージの例としてあがったのは、株式会社スタートトゥデイのロゴ。
箕輪さん曰くこのロゴが好きと言うより、良い意味で無味無臭で記号になっているところがいいとのこと。つまりシンボル、概念となるようなロゴを望んでいるとのことでした。「箕輪さん」「箕輪のM」「箕輪編集室」というものが前面に出過ぎず抽象的なものがよいと。コンセプトがどうこうというより、かっこいいものに。
伝えたいイメージは設立当初と同じで「海賊船」、だけどもっと抽象的なもの。得意なものがそれぞれあって、それぞれ助けあって、お酒飲んだり遊んだりしながら、宝が見つかったら豪遊して、また冒険するイメージということでした。
まずはオンラインサロンのロゴがどう使われるのか、見え方をイメージしてみた。募集ページや、SNS、このロゴがどういう場所に使われるのか。周りに埋もれてしまわないか。そういうバランスを見るのも大事な工程です。
ちなみに今回のロゴのリニューアルは、箕輪編集室デザインチーム内でZOOMというビデオ会議で公開しながら作りました。ロゴを作るときのプロセスや思考を垂れ流すだけですが、僕はなまけものだから人目を感じながら作ると気合が入ってちょうどいいんです。それにこれからのクリエイターたちのお役に立てればいいなと思ったからそうさせてもらいました。
箕輪さんの話を受けて、ロゴは記号っぽいのがいいなと思いました。例えばキリストの十字架みたいなもの。新しい数字とかアルファベットとか、単純な図形だけどその形を見ただけで「箕輪編集室」と認識できるようなものになるのが理想。今回の場合、意味から考えて連想ゲームするのではなく、図形から入りました。箕輪さんや箕輪さんの発した言葉から思いつくものなんでもいい。アイデアラフだから、ポンポン思いついたものを形にし、そうした中でいくつか造形が生まれました。実際に箕輪さんに提案した資料を元に紹介します。
箕輪さんに見てもらい、こちらの案に決定しました。
この新ロゴは、昨年末の箕輪編集室の忘年会にてお披露目させてもらえた。箕輪さんや箕輪編集室メンバーの前で披露する機会をもらえてうれしかった。
確かにこの案は、海賊船を想起させつつも以前よりもシンボリックなものになっています。
今回はストーリー重視ではなかったものの、今こうして見るといろんな意味に取ることができます。○と×で構成されているので、「常識を疑え」という風にも取ることができるし、○=成功と×=失敗、つまりトライアンドエラーの繰り返しとも取れる。なんとも箕輪編集室らしいデザインです。
その後は通常のロゴと同じく多少のブラッシュアップはしているものの、実はあまり作り込んでいません。なぜかと言われたらうまくいえないのだけど、今回はコンセプトを作り込んでいなくて直感と偶然を大事にしているからです。日本刀に例えるなら、もともとの鋭さや切れ味を大事にしたくて。そこに僕が刀をピカピカに磨き上げる作業をしてしまうと偶然性が無くなる気がしてあえてそうしませんでした。箕輪編集室はアップデート主義のコミュニティ。未完成さをはらみつつも、みんなで新しい文化を作っていく。そう考えたときに作り込んだロゴは相応しくないと判断したからです。
箕輪編集室には、エリアや属性、クリエイティブチームがたくさんあります。チームごとにはそれぞれカラーとバナーがあるのですが、今回ロゴのリニューアルなので各チームのバナーも総入れ替えしました。
募集ページの内容もライターの浜田さんを中心にリニューアルされました。かくして箕輪編集室の現在の募集ページはこうなっています。
今後は箕輪編集室専用のWEBページもできるようなので、このロゴが旗印としてさらに機能してくでしょう。僕もデザイナーとしての活動を一区切りし、今度は漫画で大好きな箕輪編集室に関わっていく。そう心に決めています。
追伸:
僕、前田高志は2019年より漫画家とオンラインサロン「前田デザイン室」が活動の中心になります。(ただし現在は前田デザイン室は新規募集していません。すみません)