NASU代表取締役、前田高志の2冊目の著書『鬼フィードバック デザインのチカラは“ダメ出し”で育つ』が9月17日に株式会社エムディエヌコーポレーション(以下MdN)より発売されます。装丁はNASUが手がけました。

こちらが完成した装丁です。

案出しから校了まで、装丁ができるまでの制作過程をすべて公開します。『鬼フィードバック』の陰に「鬼フィードバック」あり。

「鬼フィードバック」とは?

「鬼フィードバック」は、オンラインコミュニティ前田デザイン室での取り組みから生まれました。くわしく解説した前田デザイン室のnoteがこちら、すべての始まりがつづられた斎藤ナミさんのnoteがこちらです。

壮絶なフィードバックのラリーを斉藤さんが記事化する際に、前田デザイン室のコミュニティマネージャーでもある弊社の浜田綾さんが記事のタイトルを「鬼フィードバック」と名付けました。

鬼フィードバックは “鬼” という言葉からイメージするような怖いものではなく「鬼のようなラリー数」に由来します。ラリー数が壮絶なだけで、内容は愛のあるダメ出し・アドバイスです。成長において必要な気づきを与え、デザインを育てる力があるからこそ、コンテンツとして前田デザイン室のメンバーに受け入れられました。

鬼フィードバックがコンテンツとして成長していくなかで、前田さんは「世の中のデザインをもっと良くするために、鬼フィードバックを世の中に広めたい」と考え始めます。そこで編集プロデューサーの染谷昌利さんに相談したところ「いけますよ!これ!」と太鼓判を押していただきました。そのまま話は順調に進み、MdNでの書籍化・出版が決まります。

コンテンツとして生まれ、成長したのは前田デザイン室のメンバーのおかげなので、『鬼フィードバック』は前田デザイン室のメンバーとの共著と言ってもいい本です。

前田高志とNASUメンバーが装丁に挑む

前田デザイン室でこれまでに出版してきた本とは違い、出版社を通じての書籍化なので、MdNの編集者の方や営業の方とのやりとりがあります。前田デザイン室で「装丁の鬼フィードバック」をする方向も考えましたが、混乱や不測の事態を避けるためにもNASUで制作したほうがいいと判断しました。

今回は前田さんと、NASUの社員であり前田デザイン室のメンバーでもある久本晴佳さんがタッグを組んで装丁に挑むことに。久本さんのデザインを、前田さんが鬼フィードバックするスタイルです。

久本さんと前田さん

装丁は本の制作の中でも一番ハードであり、売り上げを左右する非常に重要な役割を担います。前田さんが「もはやNASUのエース」と認める久本さんのデザイン力は、装丁の鬼フィードバックを通じて、さらに成長しました。

鬼の「案出し100本ノック」が始まる

一般発売に先駆けて7月16日からAmazonで予約が開始されたので、予約ページに使用するための仮表紙をデザインしました。こちらも久本さんがデザインし、前田さんが鬼フィードバックしたものです。

Amazonの予約ページに使用した仮表紙のデザイン

この仮表紙を踏まえて、装丁のデザインがスタートしました。

装丁の第一段階「案出し」は、まさにデザインの100本ノック。とにかくアイデアを絞り出し、可能性を探ります。この段階でMdNの編集者、後藤孝太郎さんからは「『鬼フィードバック』だけでは何の本かわからないので、デザイン書ということが、ひと目でわかる装丁にしたい」との要望がありました。

Amazon予約ページでの仮画像を進化させた案
親しみやすさ、手に取りやすい案

漫画、エッセイぽい印象ですね。これも悪くないんだけど、もっといろいろな切り口を試していこう!フィードバックのラリーをラッシュで入れるのはまず一案かなぁ。

実際の鬼フィードバックの画像を使用した案をいくつか考えてみました!

「鬼フィードバック」のコミュニケーションラリーを表した案

いいね。これがスタンダードな案だと思う。あとはもっと抽象度を高くしてシンプルに強く、わかりやすく図解にしたやつもいいかも。写真でワンビジュアルとか、他のアプローチも見たいな。

鬼フィードバックの抽象化、図解を意識して作ってみました!いかがでしょうか…

鬼フィードバックを抽象化、図解した案

いい感じだね!鬼フィードバックの「ー」が伸びてるやつと、「ー」がラリーしているのアリだな。それだけ今回はタイトルが肝だと思うから。勝てるデザインのひとつの要素、ならではのデザイン!あとは写真の切り口も欲しい。今はそんなにディテールはいらないので。

写真をモチーフにした案(著作権の関係で載せられないのですが、掲載されている画像以外にも、20案以上は提出しています)

正直もっとぶっとんだ案も見たかったな(笑)。久本さんには「後悔したくないから、思いつく限り全部の案を試したい」と声がけしていました。

この段階では「良い・悪い」のジャッジはしません。思いつく限りのアイデアを、出しまくって出し尽くす!良くないと思う案でもとにかく形にしてみる。あらゆる可能性を探って、とにかく限界までアイデアを絞り出します。

今回の装丁の中で最初の関門は、案出しでした。案を出しても出しても前田さんに「もっともっと!」と言われる…!ここに載っている以外にも30案は確実に出しています。

でも前田さんに「後悔したくないから」と言われて「たしかに!やり切ろう!」と思えました。


まずは3案に

第一段階の案出しが完了し、ここから方向性を絞っていきます。

鬼フフィードバックはラリーであり、双方向であることが大前提。物量やスピード感、鬼というワードの強さから言って、僕は以下の4案が最適だと考えました。

ほかの制作メンバーとも上記の4案で意見が一致します。「タイトルを全面に出したデザイン」「吹き出しのデザイン」「紙を積み上げたデザイン」の、3つの方向性に定めてブラッシュアップしていくことになりました。

3つの方向性を調整しました!

紙を積み上げている案は、作例のBefore→Afterをオビに組み込むなどして、わかりやすい「デザイン書籍らしさ」を高める必要があると感じました。

「ー」を伸ばしたM-1の案は、そもそもデザインの仕掛けとして、タイトル文字がパッと目に入ってこないタイプなので、あまり掘り下げないほうがいい気はしますね…。吹き出しのJ-1に関しては、ちょっと文字の量が多すぎるので、単語だけでいいかもしれません。

ここからはMdNの営業の方の意見をうかがう段階に入るため、紙を積み上げた案と吹き出しの2案に絞って進めていくことになりました。


2案に絞られた!しかし…

後藤さんにいただいたご意見を参考に、「紙を積み上げたデザイン」と「吹き出しデザイン」の2案の調整を進めていきます。

紙を積み上げたO-1は帯にbefore→afterのバナーを掲載しました。吹き出しのJ-2は、セリフと吹き出しを少なくして、背景のバナーを羅列した画像をアイコン的に表現しています。

今ところ、この2点がいいかなと思っています。どうでしょうか…

吹き出しの中の文字をなくしたうえで、吹き出しのラッシュで作れないかな。なんか文字が多いなってうんざりしてしまう。デザイナーって文字が嫌いな人が多いので。あとは『鬼フィードバック』というネーミングをいつも褒められるので、ロゴみたいに絵的に立たせたほうがいいかも。

文字無し+吹き出し増しで作成しました。
ロゴっぽくというのは、主張が強すぎない程度で、言葉が目立つ感じですか…?

吹き出しを、デザインのやりとりだとわかる感じにしたいな。それでいて、見どころがあるアートに昇華できないかなぁ?

クセは強すぎないけど既存書体ではない感じで、タイトルを作字(既存の活字を合成したり削ったりして、新しい活字を作ること)してみました。どうでしょうか…?

タイトル文字は、スポーツの熱い感じで。炎のシルエットを文字に組み込ませるとか。

スポーツの熱い感じ…こうでしょうか?タイトルの書体を戻して「デザイン」に吹き出しを重ねてアートっぽくしてみました。

前田さんのアドバイスをもとに、さまざまな方向から可能性を探ってみましたが…。

この方向性で「鬼フィードバック感」や「デザイン書らしさ」を表現するのが難しく、前田さんと話し合ってもう一度いろいろな方向性から検討することにしました。

調整を重ねるごとに確かに良くはなっているものの「これだ!」の手応えがなくて。今回の装丁で一番苦しかった時期でした。

説明はできてきている。でも「ハッ」としない。今までになかったタイプのデザイン書を作っているのに、驚きが感じられなかった。この2案を詰めるのは一旦置いてリセットした方がいいと判断しました。

今の方向でうまく進まないときはプロセスをさかのぼり、最初に立ち返る判断をするのも大切。違和感をそのままにして強行突破すると、妥協の産物になってしまうので!


鬼フィードバックでデザインが復活!

リセットする段階で、最初の案出しにあった「顔がメインのデザイン」が復活します。

実はこの顔がメインのデザイン、久本さんが一番気に入っていたものでした。

個人的には推していたのですが、前田さんに上手くイメージを伝えられなくて、一度はボツに。でも鬼フィードバックで復活させられました!

エッセイとか、漫画っぽく見えてしまうので正直違うかなと思ったのよね。MdNさんの書籍『なるほどデザイン』のような、シンプルな王道感を目指した「鬼フィードバックを説明するアプローチ」は散々やったから、説明を離れたアプローチで詰めていくのはアリアリだね!

【前田さんからのフィードバック】
①王道の雰囲気を出すなら顔を正面に!
②キャラクターを親しみやすくマイルドに!
③タイトルを大きく目立つように!ロゴっぽく
④一目でデザイン書だとわかるように!

上記の4点を鬼フィードバックでブラッシュアップした結果がこちらです。


顔がメインのデザインに加えて、一度は絞られた「吹き出しデザイン」と「紙を積み上げたデザイン」もブラッシュアップしました。

吹き出し案
紙を積み上げた案

上記の3案にくわえて、こちらの『鬼フィードバック』のタイトル文字をアートにした案

そしてフィードバックのラリーをボールで表現した案

以上の5案をブラッシュアップし、再提案します。



書籍のエキスパートからのフィードバック

それぞれ異なる方向性の5案で、後藤さんに再提案です!

私と前田さんの意見としてはC案かE案、特にE案を推したいです。この本は「鬼フィードバック」という言葉が一般化すればするほど売れていく本になると思うので、買う人をデザイナーに限定しないデザインが最適だと考えたからです。
E案は学校や会社など、いろいろな場所へ広げていける可能性のあるデザインだと思います。

C案とE案は鬼フィードバックらしさ、フィードバックラリーの数の凄さを表現できているデザインです。
鬼のようなラリーを視覚で伝えようすると、どうしても複雑なデザインになってしまいます。
「鬼フィードバック」の意味を正しく理解できるデザインだとしても、表紙としての引きが弱く、書店に並んだ際にも埋もれてしまう可能性が高いです。
資料(下記画像)にも書いているように、E案は「まず手にとってもらえる表紙」だと考えています。

実際に書店に並んでいるイメージの検討をおこなうために制作した画像

タイトルがスッキリ頭に入ってくるのと、打ち出しの強さから言って、基本的にはE案がいいと思います。ただ、無難なのはC案かなと。それを踏まえてのフィードバックです!

【MdN後藤孝太郎さんからのフィードバック】
①C案のタイトルをもう少し目立たせたい!
②タイトルの面白みを文字組みに出したい!
③E案のキャラクターを万人ウケするデザインにしたい!

後藤さんのフィードバックを見て、E案のキャラクターデザインは「万人ウケ」よりも「書店で目立つこと」に偏っていたなと気づきました!

絞るならCとEだと確信してたので、同意見でよかったです。後藤さんは初期から『鬼フィードバック』というタイトルと、フィードバックのやり取りの数に価値を感じてくれていたし、必然的にこの2案になるよね。そして書籍のエキスパートである出版社の編集者さんの視点は、客観的で「なるほど」と思うところがとても多いです。僕も勉強になりました。


鬼フィードバックで怒涛のブラッシュアップ!

2案に絞られ、いよいよ前田さんの鬼フィードバックが本格化します。まずはC案のブラッシュアップからです。

C案:「吹き出しデザイン」のブラッシュアップ

イラストを入れてかなり良くなったね!でもタイトルが埋もれてしまっているのが気になるなぁ。

なるほど…!タイトルの文字をロゴっぽくして、サブタイトルを逆サイドに配置してみました!

タイトルが目立つようになったのはいいんだけど、吹き出しやイラストとぶつかっている。世界観も違うかな。別パターンでタイトルに目がいくような工夫をしてみて!

たしかに!デザインの要素が多いので、タイトルが凝りすぎているとぶつかっちゃいますね…。書体は敢えてシンプルにして、陰影をつけてみました!

良くなってきてる!ただ全体の白っぽさが気になるのと、引きで見ると読みにくいから書店で埋もれるかも。あと書体はもう少し丸みがあったほうがイラストと調和すると思う。

イラストとのバランスを見ながら、この方向でブラッシュアップします!

前田さんの鬼フィードバックをもとに、これだけの修正を繰り返しました。

C案のブラッシュアップの様子


C案の最終的なデザインがこちらです。

タイトルを目立たせつつ、世界観や雰囲気を壊さないデザインになった!ただ、情報がちょっと多いかな…。一撃で伝わる情報バズーカになっていない。



E案:「顔がメインのデザイン」のブラッシュアップ

続いてE案の鬼フィードバックです。

後藤さんから「もっと万人ウケするキャラクターに」というフィードバックがあったけど、具体的にどうしたらいいと思う?あとはタイトルも弱いよね。

表情をもっと優しく、でも必死さは残す感じですかね…。タイトルが目立たないしデザイン書っぽさも足りてなくて、何の本かわかりづらいです。

僕は振り切ってて面白いと思ったけど。客観的に見たら異常よね、この顔(笑)

そう。ただ優しい表情にするんじゃなくて「鬼フィードバック」の真剣さ、必死さは残す必要があるね。キャラクターに何か小物を身につけさせてもいいかも。「やるぞ感」が表現できるハチマキとか。

タイトルが目立つように、作字しました!
「DESIGN」のハチマキで「デザイン書らしさ」を追加して、表情もマイルドにして親しみを持てる感じにしています。

文字が細すぎてタイトルが目立っていないなぁ。もっとバーン!と登場した感があるデザインにしよう。『ザ・ベストテン』の番組ロゴみたいな雰囲気が欲しい!カラーも白じゃないほうがキャラクターが映えそう。ハチマキの「DESIGN」はカタカナのほうがわかりやすいかも!

タイトルをさらにロゴっぽく登場感のあるデザインにして、メインカラーは赤に変更しました!前田さんがTwitterで意見を求めたときに「鬼はやっぱり赤」という意見が多くあったのと、情熱を感じる赤が「鬼フィードバック」を表現できると考えたからです。

著者名がタイトルに紛れていたけど、顔の下に配置して良くなったね。サイドに配置するパターンも作ってもらったけど、センターがしっくり落ち着いた。タイトルは、もっと鬼らしさが欲しいなぁ!

目を白くして、さらに必死さをあげてみました!タイトルロゴにメラメラ燃える炎の熱い雰囲気を反映して、ハチマキには鬼マークを足しています。

良くなってきた!方向性はこれだなぁ。あとは細部を磨いていくだけ!フィニッシュワークをしていこう。

あと、ハチマキにオリジナリティが欲しいな!デザとインの間は鬼マークじゃなくて「鬼フィードバック」ならではのマークを入れたい。実際にハチマキを作りたいから!

目は黒の方がいいかもしれないですね…。オリジナリティのあるハチマキのマークを考えるのと、タイトルロゴのバランス調整をします!

これだけのパターンを、フィードバックのラリーで修正しました。

E案のブラッシュアップの様子


最終的にE案はこちらのデザインになりました。

いいねー!グッとくる!!「鬼フィードバック」のラリーのハードさ、必死さがハチマキで可視化されてめっちゃいい!

ちなみにこちらのハチマキは、9月17日よりNASUのECサイトで発売されます!

書店に置かれた際のイメージも作成し、MdNさんに再提案です。


ついに1案に絞られる!

C案とE案を修正いたしました。
C案もクオリティアップできるように試してみましたが「やはりE案のほうが、より長く売れるのではないか」というのが私と前田さんの結論です。
書店イメージとC案の別案もPDFでまとめているので、ご確認ください。

E案でいきたいと思います!そのうえで2点だけフィードバックをさせてください!

【MdN後藤孝太郎さんからのフィードバック】
・鼻息が怒っているように見えて、ちょっと怖いかも…。
もう少し柔らかい印象にしたい!
・サブタイトルと前田さんの名前をもっと目立たせたい!

前田さんと久本さん一押しのE案が選ばれました!ついに1案に絞られ、ここから更にブラッシュアップしていきます。


鼻息をなくしてみました!サブタイトルをタイトル下に移動し大きくして、前田さんの名前を著者名として表記しています。

鼻息なくしたほうが、情報が整理されて見やすくなったね!
イラストを少し小さくして、タイトルとサブタイトルを大きくしてみてほしいな。著者名も大きくしよう!

タイトルとサブタイトル、著者名を大きくしてイラストを少し小さくしてみました!著者名は黒と白どちらが良いでしょう…?

良いね、最高!情報が整理されたし、バランスもいい。著者名は白にしよう!


ついにデザインは最終調整の段階へ

『鬼フィードバック』のタイトルロゴについても検証を重ねました。前田さんのツイートは題字(タイトルの文字)の太さや形、角度を少しずつ変化させて、グラデーションにしたものを壁に貼って検証する様子です。NASUで手がけるデザインは、この検証を必ずおこなっています。


キャラクターのデザインもブラッシュアップします。「デザインやるぞ感」を演出するハチマキも、たくさんのデザインを比較・検討しました。文字だけでなく、真ん中の鬼マークの形も少しずつ変化しています。

ハチマキのデザイン案の一部

ハチマキだけでなく、鼻の角度や輪郭の太さ、髪型のハネ具合に至るまで微調整を繰り返します。


ちなみにこのキャラクターは、若き日の前田さんをイメージしたものです。「自分が若いころに知りたかった情報、求めていた学びを広めたい」という前田さんの想いを反映しました。

最後の大仕事!装丁の印象を左右する「色校正」

いよいよ色校正の段階に入ります。色校正とは、イメージ通りの印刷物に仕上げるために、実際に印刷して色を確認・調整する作業のことです。何度も書店に足を運んで赤い装丁の本を見たり、たくさんの色見本を見比べたりして「鬼フィードバックにふさわしい赤」を探します。

書店のデザイン書のコーナーを想定して「このあたりに並ぶかな?」と、イメージを膨らませがらの検証も重ねました。


こちらが『鬼フィードバック』の装丁の試刷です。校了まで時間がない中ではありましたが、後藤さんのご厚意で4パターンも試刷・検討できました。

左上:一度刷り/PPアリ 左下:一度刷り/PPナシ
右上:二度刷り/PPアリ 右下:二度刷り/PPナシ


二度刷りのほうが赤の色味は強く出ますが、強すぎてタイトルのロゴが目立たなくなってしまいます。書店に足を運ぶなかで、こちらの二度刷りの赤を装丁に採用している書籍が多いと感じたのもあり、二度刷りカラーは不採用になりました。

一度刷りのほうは目の覚めるような鮮やかな赤で、タイトルロゴもしっかり際立ちます。PP(紙表面をコーティングするラミネート加工、ポリプロピレン加工の略称)なしでは発色が浅い印象だったので、PPありの一度刷りに決定しました!

校了が迫る中でも一切の妥協をせずに、色校正に取り組めたのは、より良い書籍にするための最大限の努力をさせてくださった後藤さん、制作チームのみなさんのおかげです。ありがとうございました。

案出しから校了に至るまで、数々の「鬼フィードバック」を経て、出来上がった装丁がこちらです。


『鬼フィードバック』が、世の中のデザインを変える

「教わる・教える」という行為は非常に難しく、ちょっとした行き違いで誤解が生まれたり、やる気を奪ってしまったりする可能性があります。デザインを学びたい方はもちろん、指導する立場の方にも『鬼フィードバック』の考え方が浸透していけば、世の中のデザインはもっとよくなるはずです。

「鬼フィードバックしてください!」そんなやりとりが、会社や学校で生まれることを心より願っています。鬼フィードバックで、一緒にデザイン力を磨いていきましょう!

『鬼フィードバック デザインのチカラは“ダメ出し”で育つ』は、明日9月17日発売です。たくさんの方の手に届きますように!

現在、前田デザイン室では、月にひとりだけ前田さんから鬼フィードバックを受られるイベントを開催中です。興味ある方はぜひ前田デザイン室へのご入会をご検討ください。前田デザイン室入会ページ(CAMPFIRE)


〈企画・編集=浜田綾(@hamadaaya914)/ 文=成澤綾子(@ayk_031)/バナーデザイン・画像制作=小野幸裕(@yuttan_dn52)/アイコンデザイン・画像制作=久本晴佳(@hi_sa_ko__)〉