NASU代表 前田高志がコンサルティング対談を行ない、その様子を記事にする企画「NASU CREATOR’S DIRECTION」の10回目となります。


片平優(かたひらゆう、以下、ぴら)さんは、ブランディングデザイン会社の株式会社Baby Tokyo(本社:東京・代官山、以下、Baby Tokyo)の代表を務めています。「あまり自分のことを話す機会がないのでこの機会に、せっかくなら前田さんに話を聞いてほしい!」とコンサルに申し込みました。


片平優(ぴら、ぴらゆう)

老舗広告制作会社の株式会社ライトパブリシティでプロデューサーとして活躍した後に独立。Baby Tokyoを立ち上げ、同社の代表であり、ブランドプロデューサーを務めています。クライアントとの関係を深め、一緒になってブランドを育てることを大切にするぴらさん。悩みはない!? と思いきや、深掘りするうちにある課題が見えてきました。



プロデューサーは、「つくる機会をつくる人」

前田:この企画も10回目なんで、どーんと任してください!


ぴら:頼もしい! よろしくお願いします。


前田:じゃあ早速、悩みをどうぞ!


ぴら:えっ! いきなり(笑)!? あっ……えーと、ちょっと待ってくださいね……。


前田:まぁ急に出ないですよね(笑)。ぴらさんとは過去にもごはん食べに行かせてもらって、悩みがあっても自分で解決できるタイプなんじゃないかなと思って。


ぴら:確かにそうかもしれないです。私の会社Baby Tokyoは、仲間は増えつつあるものの、実質的には私と会社が一心同体の状況なので、何でも自分で解決しないとっていうのはあります。

前田:そうですよね。ぴらさんの職種は「ブランドプロデューサー」ってことですけど、具体的にはどんなお仕事を?


ぴらブランド戦略の設計という、いわばクライアントのブランディングの参謀的役割を担ってます。その戦略をもとにデザインを生み出すという、プロジェクトマネージャー的な動きもあります。なので、仕事は何かと聞かれると、一言でいえば“プロデュースすること”ですね。


前田:ぴらさんが思う「プロデューサー」って一言でいうとどんな仕事をする人ですか?


ぴら:「つくる機会をつくる人」です。そもそも広告とか、デザインとかをつくるプロジェクト自体がないと、つくる機会は生まれないので、プロジェクト自体を生むところから携わるということですね。


前田:社名の「Baby Tokyo」って“産まれる”ところから立ち会うからってことですね。だから本当に最初。もっと言えば、仕事が生まれる前の段階から

ぴら:まさにそうです。広告とかデザインの仕事って、コンペが多いですよね。でも私、椅子取りゲーム的な仕事の取り方が苦手で……。


前田奪い合うくらいなら椅子自体をつくっちゃえってことですね。つまり、プロジェクト自体を生んで、クリエイターをアサインして、全体をプロデュースしていくっていう。


ぴら:はい。だから、最初は「ブランディングって何ですか?」っていうくらいのお客さんに、「ビジネスの文脈でこういうふうに役に立ちますよ」っていう基本的な話から始めて、理解してもらって、仕事につなげるっていう受注のやり方が好きです。ときには、お客さん自身が何をしたいかわからないっていう状態から話を始めるケースもあります。


前田:へぇ〜面白い。僕は、クライアントがやるって決めたことに対して、それを磨く仕事ばっかりしてきたんで。それはどっちかっていうと、「ディレクター」って感じですかね。


ぴら:そうかもしれないです。プロデューサーはプロジェクトが生まれる瞬間に立ち会っていて、時系列的には先に入っているケースが多い印象ですね。

前田:なるほど。ぴらさんが考える理想のプロデューサー像ってあるんですか?


ぴら:うーん……ぼんやりとはあるんですけど、まだ模索してます。


ブランドは、赤ちゃんと一緒。

前田:プロジェクトを生み出したら、ゴールまで導くのもプロデューサーの役目ですよね。


ぴら:はい。広告制作はあくまで手段の一つなので、広告をつくる前後も含めてブランド全体をプロデュースしたいなって。


前田:それで独立につながったわけですか。


ぴら:はい。ブランドは赤ちゃんと一緒なんで、産まれた後もケアしてあげる必要があります。とは言え、お母さんだって育児の専門家じゃない。愛情はあるけど、専門知識はないからうまくいかなくて、疲弊しちゃう。だったら、専門家がヘルプしますよっていうコンセプトで生まれたのが「Baby Tokyo」っていう社名なんです。


前田:へぇー! めっちゃ良い。子どもを大切に思う“愛”から生まれた会社なんですね。どういうきっかけで思いついたんですか?


ぴら:それが、本当に自分が子どもを産んだときなんです。そのときに、今後やりたいこととつながって、なんかグヮーって一気に構想ができちゃって。それからはもうブランドが赤ちゃんに見えてしまうっていう現象が起きてます(笑)。

前田:なるほど、ここまで聞いてみて、ぴらさんって自分の仕事に対して明確な考えを持ってると思ったんですけど、そもそもこのコンサルには何で興味を持ってくれたんですか? 悩みがないんじゃないって心配になったもので(笑)。


ぴら:自分自身のことを話す機会がなかったから、ですかね。普段の仕事では「顕在意識が2割、潜在意識が8割」と言っています。自分が気づけないことの方が多い。だからBaby Tokyoみたいな第三者と話すのも重要です、という意味合いで、お客様と対話していくのですが……これを自分に置き換えてみると、8割くらい自分でも気づけていない自分が、もしかしているのではと。


前田:どういう自分に気付きたいですか?


ぴらクリエイターとしての自分、ですかね。今は会社を最大化しようと思ったら、自分を最大化するしかないので、使えるものは何でも使っていきたい。


前田:ぴらさんのクリエイターとしてのコアは何かみたいな話ですよね……。


ぴら:まさに! めっちゃ知りたいです。


前田:めっちゃ難しい……。

ぴら:えー! 最初に「任せてください」って言ってくださったのに(笑)。


前田:たしかに(笑)。どういう着地になるかまだ読めないですけど、話す中で探っていきましょう。


ぴら:はい、よろしくお願いします!


受注の鍵は、情報発信にあり。

前田:改めて聞きますけど、ぴらさんは何か悩みあるんですか?


ぴら:悩み!えーと ……はい、ありますあります。そうですねぇ……。


前田:もしかしてホントにない(笑)!? その場合は、終わっちゃいます。


ぴら:……わかった! 課題というほうが近いかもしれないんですけど、会社の認知拡大です。

前田:どういう層に知ってもらいたいですか?


ぴら:自分に合うお客さん層ですかね。経験上、中小企業の方々とか、新規事業の開発担当の方とかとの相性は良いと思ってるんです。後継ぎで社長になった方とかは特に。


前田:新しい方向性を模索していてブランディングに行き着くみたいな。ぴらさんとしては、相性の良いお客さんを増やして、会社を大きくしていきたい?


ぴら:はい、大きくはしたいですけど、クリエイティブの品質はきちんと探求し続けたいんですよね。クリエイターの方々が働きやすくて、クリエイティブとして良いものを出しながら、ビジネスとしても売上・利益を上げていく。方向性は見えてきているんですけど、このバランスが難しいです。


前田:シンプルな解決方法は、単価を上げて、一つの仕事のクオリティを高めていくってことですよね。


ぴら:まさに!


前田単価が上がっても、Baby Tokyoに頼みたいっていう状態をつくるための認知拡大が必要だと。

ぴら:はい。なおかつ、私たちに丸投げじゃなくて、一緒に頑張るっていうスタンスのお客さんに来てほしいです。ブランドの親はお客さんなんで、一緒に育てる意識は持ってほしいなって。


前田:うんうん、ぴらさんと同じようにブランドに愛を持って、一緒に向き合える人がいいですよね。


ぴら:ですね。私、ビジネスライクな付き合い方が苦手で、お客さんとはしょっちゅう飲みに行きますし、人生相談、恋愛相談を受けることもあります。


前田:そこまで近いんですね。


ぴら:会社員やって独立して、プライベートでは結婚して、子ども産んで、離婚して、今はシングルマザーという。色々ありながらも今生きてるって何でもオープンに話すと、参考にしてもらえるらしくて。で、何でも話せる関係性を構築して、仕事も一蓮托生でやらせてもらうっていうケースが多いです。

前田:なるほど。お客さんに対しても“”を持って接してる感じが伝わってきました。であれば、ぴらさんのそういう考えやスタンスをきちんと理解してもらったうえで相談に来てもらうのがいいですね。今は、どういうルートで相談が来ますか?


ぴら:紹介か、Twitter経由が多いです。Twitter経由だと、私が仕事で大事にしてることや性格的な偏りも理解したうえで来てくださるので話が早いです。


前田:それはいいですね。


ぴら:そうか。自分からの発信が、相性が良いクライアントと出会うきっかけになってますね。


前田:発信は大事だと思いますよ。例えば、最近一番ウケたツイートは?


ぴら:ブランディングについて図解したやつですかね。それを見たっていう企業の方から問い合わせが来たほどでした。


前田:そうそう、Twitterでいうと、ぴらさんってアイコンはクールな印象じゃないですか。でも、実際はフレンドリーでお客さんに寄り添うし、温かい人ですよね。


ぴら:あ〜! あのアイコンは魔除けなんです(笑)。


前田:魔除け?

ぴらさんのTwitterアイコン

ぴら:会社を立ち上げてすぐの頃は、それこそニコニコした写真にしてたんです。実際も割とフレンドリーな性格なんで。ただ……。


前田:ファンみたいな追っかけられ方をするとか?


ぴら:それに近いです。言葉を選ばずに言えば、発注をにおわせながら、私に構ってほしいがための問い合わせとか、TwitterのDMが普通に来ちゃってたんです。これはマズイと思って、今の魔除けスタイルのアイコンにしました。

前田:それは良くないですね。ぴらさんを女性として見て来てるとなると、仮に案件につながっても、ブランディングへの価値観やスタンスを理解していないでしょうし。


ぴら:はい、ミスマッチになっちゃうんですよ。あと、プロデューサーと名乗ってる手前、人を牽引する、ピリッとした印象も与えていくのも大事かなと思ったのもあります。ふにゃっとしてると頼り甲斐は感じてもらいにくいかなぁと。


前田:それでいうと、僕はふにゃっとしてますね。

ぴら:ふにゃ(笑)?


前田:最近、「酔っちゃった」って自撮りをツイートしてるんですよ。


ぴら:なんですか、そのかわいい感じ(笑)。でも、前田さんはフォロワーも多いし、権威性があるから、ふにゃも成立するのかも。


前田:僕の場合、Twitterで自分をつくるってできないんですよ。結局は漏れ出ちゃうんで。ぴらさんの場合、ある程度考えて自分を出していけるんで、あとは、ぴらさん自身がどう自分を出していきたいかだけです。


ぴら:確かにそうですね。


ぴらさんは、出版を目指すべし。

前田:うんうん、わかった! 結局、今のぴらさんは思想で人とつながることが必要なんで、解決策はズバリ「出版」です。


ぴら:しゅ、出版ですか!?


前田ビジネス書を出した方がいい


ぴら:あっ……はい!わかりました! って、出版? えーと、どうやったらできますか(笑)?


前田:まずTwitterで自分の考え方、価値観をじゃんじゃん発信してください。その中から、反応が良かったことをnoteで記事にするんです。


ぴら:noteがいいんですか?


前田:はい。Twitterだと140文字と短いんで、noteで3,000〜5,000文字くらいでいいです。その記事が重なっていくと、本にしたときのイメージもわきやすいじゃないですか。あとは記事の反応が良ければ絶対声がかかります。

ぴら:出版社から声をかけてもらえるんですか?


前田:そうです。出版社もバズったnoteはチェックしてるんで。僕も出版を意識して1年くらいガチでnoteを書いてた時期があるんですよ。計10本くらいかな。今日同行してくれてる(NASU広報の)浜田さんにも手伝ってもらって。ね?


浜田:はい、記事の数よりも質を重視して、1本ずつ丁寧に練って練って出す感じでした。


ぴら:分担はどうされてたんですか?

前田:ケースバイケースでしたよ。僕だけで書いたのもあるし、僕がコアだけ設計して書いてもらったのもあるし。


ぴら:そうか、頼んで書いてもらうっていう方法もあるのか。


前田:僕はnoteをやる5〜6年前からブログをやってて、浜田さんにはその頃から記事を依頼して書いてもらってたんですよ。だから、僕が考えそうなこととか、言いそうなこととか知ってくれてるんで、すごくやりやすかったんですよね。


ぴら:ライターの仲間、心強いですね。


前田:僕は本を出したいっていう思いはある一方で、最初は伝えたいことなんてないって言ってたんですよ。で、竹村俊介さんっていう有名な編集者さんに相談したらアドバイスをくれたんです。「noteを書きましょう」って。


浜田:noteで記事を出して、マーケットの反応を見て軌道修正しながら、原稿をストックしていくのがいいんじゃないかっていうお話で。


前田:それで書き続けていたらわかってきたんですよ。自分が伝えたいこと、書くべきことっていうのが。


ぴら:実は、最近Twitterで私が見つけて、「めっちゃいい!」って思った子をスカウトして仲間になったブランドストラテジストがライターなんです。

前田:マジですか!? もう運命じゃないですか。


ぴら:彼女に書いてもらえばいいわけですね。


前田:いきなり書くのが難しければラジオみたいに自分が喋った音声をもとに記事にしてもらうのも一つですよ。なんなら、普段の打ち合わせを録っておくのもありかも。ブランドへの考え方も語りますよね?


ぴら:はい、ものすごく垂れ流してると思います(笑)。


前田:そういう音源を集めて再構成して記事にするなら時間もかけずに着手できるはずですよ。


ぴら流プロデュース術「子どもに家事を手伝ってもらう方法」

ぴら:悩ましいのが、そのブランドストラテジストの子には、まずブランド戦略家としてのノウハウを仕込むことに時間を割きたくて。できれば別でライターさんの仲間も欲しいんですよね。前田さんにとっての浜田さんみたいな人。全部受け止めてくれて、記事も書けるって理想的な関係です。


前田:ぴらさんに合うライターさんが必ずしも同じタイプとは限らないですよ。相性もあると思うし。


ぴら:どうやって探して知り合うのがいいですかね?


前田:僕でいう「前田デザイン室」みたいな場所があるといいんですけどね。自分に何らかの価値を感じてくれる人が集まるコミュニティ。

ぴら:「プロデューサー養成講座」というのをやってはいるんですけど、最近あまりリソースは割けてないですね……。


前田:あとは大学や専門学校の先生をやって、前のめりな学生を仲間にするっていう方法もありますよ。


ぴら:やってみたい! どうやったらなれますか?


前田:紹介が多いと思います。ブランドのことを話せる先生を探している学校は絶対ありますよ。あとは見つけてもらうだけ。それこそnoteで発信して話題になれば、すぐ紹介が来るんじゃないかな。


ぴら:やっぱりそこも自分の発信から始まるわけですね。


前田:もちろんどういう発信をしていくかが大事になるんですけど、すでにイメージとかあります?


ぴら:うーん……私は結構、何でもさらけ出しちゃおうっていうスタンスなんですけど、いざとなると思いつかないですね。

前田:ちなみに僕の場合は、自分のノウハウも性格も全部出すって決めてるんで。


ぴら:へぇ〜! 最初は相当覚悟が必要だったんじゃないですか?


前田:いや、そんなことないですよ。決めたのは2016年に独立してから。独立当時は、ブログを匿名でやってたんですよ。でも、ブログをめっちゃ活用してる20代の若者たちと会って衝撃を受けたんです。顔出しで、自分のノウハウも、性格的なダメなところも何でも晒して。


ぴら:まさに今の前田さんのスタイルを。


前田:彼らは日本の中でも200人くらいが毎月1万円出してでも欲しい情報を出してるんじゃないかって気づいて、僕もそうなろうと思ったんですよ。真っ先にそこに辿り着こうと思ったら、全部出すしかないって。

ぴら:私はどうも自分のノウハウが武器になるイメージがわかなくて……。


前田:武器になるって言うか、何でも出して、僕にピンと来る人を待つしかないって感じでした。誰もがノウハウは隠したがるなか、一人で何でもさらけ出していると、読む側には“そこまで話す余裕がある人”だって感じてもらえて、晒している以上にすごい能力を持っていると思われるんですよ。能力底なしなんじゃないかっていうくらいに。


ぴら:そうやって濃いファンをつくっていくわけですね。ノウハウかぁ……私の場合、どんなのがいいですかね?


前田:前に伺った、お子さんに家事を手伝ってもらうプロデュースの話とかめっちゃ良かったですよ。


ぴら:あぁ、あれですね。旅行に行ってからあんまり日が経たないうちに、子どもたちに「旅行楽しかったね。また行きたいね」っていうと「また行きたい!」ってなりますよね。じゃあこの機会にと「やりたいことを全部書いてみよう」ってやったんですよ。そうすると、旅行以外にも色々出てくるんです。ゲーミングPCがほしいとか。


前田:なかなか贅沢ですね(笑)。


ぴら:ですよね(笑)。で、「これをやるには結構お金がいるよね」と。「ママは、今はパパと別々に暮らしてるけど、お金は稼がないといけないし。家事に時間を割くと、そのぶん仕事の時間がなくなっちゃうんだよね。どうしようか……」って投げかけると、子どもたちのほうから「じゃあやるやる!」と。「お金を稼ぐにはどうしたらいいかな?」って聞いたら「ママが働く!」って。

前田:子どもも動かす。まさにプロデューサーですね。


ぴら:ちなみに、その後、子どもたちに付箋を渡して、家事を書き出して、誰が、いつ、どれをやるかまで決めました。私のタスクが多いと、お金が稼げなくて、やりたいことが叶えられなくなるんで、子どもたちが「これは自分がやる」ってすすんで家事をやるようになるっていう。


前田:はい!これテキスト化決定です。


ぴら:あぁ〜なるほど! 何気ないところでプロデューサー目線のことしてますね。こういうネタならたくさんあります。これを記事にすればいいのか!


批判を恐れず、興味を奪う。

前田:結局、ぴらさんはお客さんを集めるにも、仲間を集めるにも、最初は自分からの発信が必要なんで、あとはどう時間を捻出するかです。書くことも将来への投資の一つですよ。


ぴら:書くのは好きなんですけど、時間とエネルギーが必要ですし……。あとは、私の気持ちの問題かも。雑な文章だとバカがバレるって思っちゃうんですよ。だからちゃんと腰を据えて書かないとっていう気持ちが強くなって、腰が重くなってしまうんです。

前田:早めに吹っ切っちゃったほうがいいです。なんなら間違った情報でもいいから発信したほうがいい。誰からも反応されない“無”の状態のほうが嫌じゃないですか。


ぴら:確かに。


前田:これ本気で言うんですけど、僕はう◯こ漏らすくらいでちょうどいいと思ってるんですよ。


ぴら:えっ(笑)!


前田:もし「う◯こ漏らした」ってツイートがタイムラインに流れて来たら心配するじゃないですか。「この人、大丈夫かな?」って。たくさんの人の興味を奪うほうが僕にとっては大事なんで。


ぴら:心理学でいう単純接触回数ですね。


前田:さすが! 今のは大袈裟な例ですけど、仕事論でも一緒ですよ。僕が自分のデザイン論を発信しても、原研哉さんが「全然違うよ」って反応してくれたら「やった!」って思いますよ。


ぴら:えー! それはちょっと凹みません?


前田:いやいや。同じ世界の憧れ、超一流に相手にしてもらって、興味の中に入れたわけじゃないですか。そしたら「ありがとうございます!」って返して、いつかは成長した自分を見せるチャンスだってあるわけですよ。

ぴら:そうか! 私なりの「プロデューサー論」を語ればいいんですね。で、秋元康さんとかからツッコミが入ったら「やった!」と。


前田:ですです。いきなり相手にされることはないかもしれないけど、されたときは本物ですよ。ちょっと目障りだと思われるくらいでもいいです。相手と同じステージに上がって、嫌だと思わせてるんだからすごいことでしょ。


ぴら:きっと私は自分より上のステージの人たちの目に届くことを恐れていたんだと思います。ちょっとカッコつけちゃってました。


前田:多少は傷を負うくらいでもいいんじゃないですかね。僕なんて独立した年齢も遅かったから、誤解を恐れずに言えば、今のトップクリエイターを否定していくくらいじゃないと。「何、難しいこと言ってんだよ」ってね。


ぴら:デザインの業界は、侍みたいな方が多いですしね。

前田:でも、そういう経験があったんで、トップクリエイターと初心者との間の本があったらと思って『勝てるデザイン』の出版につながったんですよね。今はもっとデザインを、デザイナーや一部のビジネスパーソンだけのものじゃなくて、広く一般の人の力にしてほしいっていう方向で活動してるんですよ。


ぴら:なるほど。そうやって自分の道ができていくんですね。

魂こすり合わせられるパートナーとブランドという赤ちゃんを育てたい。

前田:あとは、ぴらさんはどこに向かうかってことですね。


ぴら:Baby Tokyoをつくってから、プロデューサー、クリエイターでありながら、経営者という立場でもあって。私としては、クリエイティブ・デザインと、経営・ビジネスとを両立できる仕事をしていきたいと思ってます。

前田:今日の話でいうと、ぴらさんの仕事の本質って、お客さんとの距離感にもあるような気がしますね。


ぴら:たしかに。先ほどもお話しましたが、お客さんとは主従ではなく、対等な立場でありたいっていうの私の思想の一つかもしれません。


前田:ぴらさんのフレンドリーさは強みになりますよね。


ぴら:はい。このやり方でお客さんの企業規模も関係なくやってきて、本音を引き出したり、良いアイデアが出たのは、お客さんと近い距離でフレンドリーにやらせてもらう関係があってこそだと思うんで。


前田:一貫してますね。全部繋がって来ました。


ぴら:本当ですか?

前田:はい。ぴらさんは「魂こすり合わせる」ことが大事です。


ぴら:魂こすり合わせる……すごくいいですね!


前田:前に一度お話ししたときは「お尻こすり合わせる」って言ったかもしれない(笑)。


ぴら:そう記憶してます(笑)。私が最近、Twitterでお尻を鍛えてるっていう筋トレのツイートをしてるっていう話から。


前田:やっぱり“魂”です! お客さんも、仲間も、ぴらさんと魂こすり合わせられる人じゃないと絶対うまくいかない。だから、そういう人と出会うためのテキスト化です。


ぴら:すごく納得しました。そういう人たちと一緒にブランドという赤ちゃんを育てていきたいです。自分で言ってても一貫してる実感が湧いてきました。

前田:結局一言でいうと、“”なんでしょうね。


ぴら:愛……。


前田:だって愛じゃないですか。母親と一緒。ビジネスとは真逆って感じで。ぴらさんは、愛の人なんですよ。


ぴら:たしかに。クライアントのこと、ブランドのこと、一緒にやってるうちに好きになっちゃうんですよね。

前田:“なっちゃう”っていうのが本物ですよ。「逆ビジネスライク」みたいな言葉があると、ぴらさんにぴったりなんですけどね。そうだなぁ……「ビジネスデス」みたいな(笑)。


ぴら:いやいや(笑)! もっと愛を感じる言葉にしたいです。……そうだ!「ラブドリブン」ってどうですか?


前田:いや、ビジネスデス!


ぴら:ラブドリブンで!


前田さんにnoteを勧められたぴらさん。記事化に向けてか、Twitterでも仕事への価値観を発信し続けています。ビジネスデス…もとい、ラブドリブンのこれからは、ぴらさんのnoteで。
https://note.com/katahira_bt/

お尻!?魂(ハート)!?をこすり合わせられるパートナーポーズ!




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〈 文=木村涼 (@riokimakbn)/ 編集=浜田綾(@hamadaaya914)/撮影=ただの ちひろ(@chihiro146)/バナーデザイン=村山歩弓(@___mu110)〉