目指せ、日本一しつこい著者。『勝てるデザイン』を売るために前田高志がやったこと
僕の初めての著書『勝てるデザイン』が発売されて、早いもので5ヶ月が経過しました。自分で言うのもなんですが、僕は『勝てるデザイン』を売るためにめちゃくちゃ頑張りました。もちろん僕だけではなく、まわりの支えがあってこそ実現した頑張りです。とことん泥臭く、必死に努力しました。その結果が4刷(2021年8月現在)に繋がったと思っています。
これまでにやったことを並べたら、自分でも引くくらいありました。「何やったっけ」と思い返すたびに次々と出てくるので、もっとやっているかもしれません。
誤解のないように知っておいてほしいのは、僕が自分のためだけに頑張ったわけではないこと。利益や知名度を上げることだけが目的だったら、ここまで必死に頑張れません。
デザインに従事する人間として「デザインのことをもっとたくさんの人に知ってもらいたい」「ひとつでも多くのデザインに、この本を最大活用してほしい」という気持ちが大きな原動力でした。
『勝てるデザイン』を売るためにやったことを、現時点で思い出せる限りすべて公開します。
とにかく現場へ行った
書店の方や本を買ってくれる方と、できる限り直接コミュニケーションをとりたかったので、とにかく現場へ行きました。
発売日の前日、3月16日はフライングで購入できる青山ブックセンターに一日中いて、サイン会や出版記念のトークイベント「前夜祭」を開催。
発売後は『勝てるデザイン』を置いてくれている書店を勝手に回って、書店の方に挨拶をしたり、サイン色紙や手書きのポップを配ったり。人気タレント並みのスケジュールで書店をハシゴしました。
発売後のトークイベントでは全国を回って、対談からセミナーまでいろいろな内容で開催しました。対談形式なら、僕だけのイベントでは興味を持ってもらえない人にも『勝てるデザイン』を知ってもらうチャンスが増えます。
完全会員制パフェバー「Remake easy」では、出版を記念して一日店長をしました。NASUの代官山オフィスにいるシロクマのオブジェ「ハクマイ」をイメージした1日限定パフェも作っていただき、食べながら参加者のみなさんと交流しました。
オンラインの力はもちろん強いけど、やっぱり直接会って熱をぶつけるっていうのは重要だと思っています。実際、イベントがきっかけで本を知ってくれた人も多いです。販売直後だけでなく今も精力的に『勝てるデザイン』をからめたイベントをたくさん開催していますし、今後も続けていきます。
本に付加価値をつけた
本を買った人に得してもらいたくて、いろいろと付加価値をつけました。もちろん本だけで勝負できるくらい、いいものにできた自信はあります。でも興味をひく手段はいくらあってもいい。
何の得にもならないプライドは1ミリも持たない主義です。いい本なのは当たり前。その上で、さらに興味をひく「もう一押し」が欲しい。だから本を手に取りたくなるオマケ、付加価値をつけました。
①<初版限定>勝てるフォント
まずは初版限定特典の「勝てるフォント」。株式会社NASUのロゴタイプと同じフォントです。記念すべき初めての著書なので「数年後も語り継げるおもしろいことがしたい」と考えて、オリジナルフォントを特典にしました。
もちろん初版をスピーディーに売り切りたかったという理由もありますが、ただ読んだだけで終わりの本にはしたくなかったからです。フォントが使われ続けることで、本も話題になって生き続けていってほしい。そのための特典です。勝てるフォントについて書いたnoteで実際に使ってくれた方のツイートを紹介しています。
②<書店限定>あたり付きのアイスしおり
次は200個限定で作った書店限定特典のアイスのしおり。ただのアイスのしおりではなく、これを持って僕に会うとデザインのフィードバックがもらえるしおりです。ちなみに、全部あたり。制作してくれたのは前田デザイン室メンバーの友田もえさんです。
今はネットでなんでも手に入る時代ですが、僕は「書店で本を買う」というのはとても大切な体験だと思っています。
ずらっと並んだ本から情報や流行を感じ取ったり、隣にいる人はライバルかもしれないと妄想したり。書店にあふれるリアルな熱量に感じながら『勝てるデザイン』を手に取ってほしかったので、書店限定の特典にこだわりました。
③<電子書籍限定>オリジナル壁紙
電子書籍を出すと、Amazonランキングが上がります。読んでくれる人が増えるのはわかっていたのですが、最初は「本」ということを大切にしたくて電子書籍を出しませんでした。その後、反省して電子書籍を出すまでの経緯を書いたnoteはこちら。
電子書籍限定特典は『勝てるデザイン』の5つの条件が書かれている壁紙です。四六時中、この5つを意識できる環境が生まれます。お守りがわりに使ってください。PC、スマホ、タブレットの3端末で使えるサイズで、ホワイトとネイビーの2パターンをご用意しました。
前田デザイン室に協力してもらった
僕が室長を務めている前田デザイン室のメンバーにも、たくさん協力してもらいました。
メンバー手作りのPOP
書店で本を際立たせてくれるポップを、前田デザイン室のメンバーが作ってくれました。これでも一部です。
愛と熱を感じるPOPが書店に飾られ、『勝てるデザイン』の勝利を後押ししてくれました。書店での本との出会いは特別なものです。POPは目に留まるチャンスを増やし、『勝てるデザイン』との出会いを増やしてくれました。
たくさんのメンバーが参加してくれた「Amazon予約祭り」
「起こせお祭り。処女作は人生で一度きり」と題して始まったのは「Amazon予約祭り」です。
前田デザイン室のZoomに集合して、発売開始の19時に全員で一斉に予約をしてくれました。この祭りが、どれだけ大きな後押しになったかは計り知れません。予約をしてくれたということへの感謝もありますが、それ以上にみんなが本気で応援してくれていることへの感謝が何よりも大きかったです。
メンバーと一緒にランキング1位のキープを祈った
予約祭りのおかげもあって、予約開始日当日にAmazonランキング1位を記録しました!しかし、1位になってから24時間はキープしないと「Amazonランキング1位の本です!」と名乗れないため、1位になってからも気が抜けません。Twitterでランキングを実況したり、Clubhouseに集まって身守ったりしました。
前田デザイン室のメンバーだけでなく、縁のあるメンバーも集まってくれました。ここには載っていない人もたくさん来てくれて、本当に心強かったし勇気づけられた。
結果として無事に広告・宣伝部門、マーケティング・セールス部門で1位を達成し、発売前の重版決定も果たしました。
勝てるコピー大賞を企画
3月17日の発売日に向けて、前田デザイン室で「勝てるコピー大賞」という企画をしました。株式会社コピーライターの長谷川哲士さん(コッピーさん)が提案してくれた企画です。コッピーさんのコミュニティから名作コピーを70個以上もいただいて「これは前田デザイン室でもやりたい!」と思ってメンバーに呼びかけました。
前田デザイン室のメンバーのコピーはデザイン的なアプローチが多く、コッピーさんのコミュニティからいただいたコピーとはまた違った魅力がありました。めちゃくちゃいいコピーばかりで選ぶのが本当に難しかったです。上位10名には『勝てるデザイン』のラバーバンドを贈呈しました。
『勝てるデザイン』の初版限定フォントを使用しています。「勝てるデザイン」を成すために超える5つのハードルをアイコン化しました。
デザインのカードゲーム『Desig-win(デザウィン)』を制作
『勝てるデザイン』から生まれた、デザインを遊びながら学べるカードゲームを制作しました。制作費はクラウドファンディングを利用して集め、目標金額を200万円以上も上回って達成しています。
クラウドファンディングは資金を集めることが大きな目的ではありますが、それと同じくらい認知を広げる目的にも有効です。『Desig-win』の認知拡大とともに『勝てるデザイン』の認知も広がりました。
勝てるデザイン道場を開設
『勝てるデザイン』に付いているワークを一緒にやる「勝てるデザイン道場」を開設しました。前田デザイン室のメンバーなら誰でも利用できるZoom「アトリエ」を利用しておこないます。
本を買って終わりではなく、活用してもらいたいと考えて始めました。前田デザイン室に新しく入会してくれた人が「道場が面白そうだから『勝てるデザイン』を購入して一緒にやろうかな」と思ってくれたら嬉しいです。
尊敬するみなさんの力に頼った
僕が尊敬している方たちに「おすすめコメント」をお願いしました。みなさん快く協力してくださって、本当に有り難かったです。
デザインはデザイナーだけのものではないので、デザインに興味がない方にも『勝てるデザイン』を届けたいと思っています。おすすめコメントのおかげで「この人がおすすめするなら読んでみようかな」と思ってもらえる、大きなきっかけを作っていただきました。
あらゆるメディアで宣伝した
『勝てるデザイン』を宣伝するために公式サイトを制作しました。ただし、ひとりでも多くの人に情報を届けるためには、もっと多角的に宣伝する必要があります。有難いことに、さまざまなメディアで宣伝させていただきました。
大手メディアの記事に取り上げてもらった
新R25やNewsPicksでも、何度も取り上げていただきました。僕のデザインに対する考え方や仕事術などを「味見」してもらえる記事で『勝てるデザイン』に興味を持ってくれる人も増えたと思います。
YouTubeに出演した
コルクラボ代表の佐渡島康平さんのチャンネルに出演させていただきました。『勝てるデザイン』の帯を書いてくださった方です。「マンガの勝てるデザイン」について、僕なりの考えをお話しました。
チャンネル登録者数46万人超えの『街録ch』にも出演させていただきました。『勝てるデザイン』についてではなく、自分自身についてお話する内容です。多くの人に前田高志という人間の存在を知ってもらえる、素晴らしい機会でした。
YouTubeで先行公開した
『勝てるデザイン』の「おわりに」を先行公開しました。あとがきに当たる章です。「おわりに」は、編集を担当してくれた幻冬社の片野さんからの直しがありませんでした。全ページを通して、唯一です。
誰の手も入っていない、僕自身の言葉だからこそ「どれだけの熱と想いを込めて作った本なのか」が伝わる内容になっていると思います。
リアル広告を出した
Webでの宣伝と並行して、リアル広告での宣伝も積極的におこないました。
『勝てるデザイン』の巨大ポスターを作った
発売日前日に、青山ブックセンター本店に『勝てるデザイン』の巨大ポスターを設置しました。シンプルながら、かなり目を引くデザインになっていたと思います。巨大ポスターの前で、来てくれた人の写真を僕が撮る企画もしました。
コピーライダーに「走る広告」を依頼した
広告を背負って都内を走るコピーライダーとしても活動中のコッピーさんに『勝てるデザイン』の宣伝を依頼しました。UberEatsかと思ったら広告という仕掛けで、つい見てしまう「引きの強さ」があるリアル広告です。
代官山に電柱広告を出した
代官山に電柱広告を出しました。不特定多数の人にリーチできる広告媒体です。代官山は徒歩で街を散策する人も多い地域なので、代官山蔦屋書店まで徒歩5分の場所に設置しました。
勝どき駅構内に広告を出した
「勝」の字が入っている大江戸線の勝どき駅に広告を出しました。こちらも不特定多数の人にリーチできる方法です。
データの無料配布をした
教育機関には無料で書籍のデータを公開しました。「売るためにやったこと」とは違うかもしれません。でも僕が『勝てるデザイン』を売りたかったのは「デザインのことをもっとたくさんの人に知ってもらいたい」という気持ちがあったからなので、主旨としてはブレていません。
また、勝てるデザインの巻頭に入れている「自分史・年表」が好評だったので、こちらのデータも無料配布しました。
自分を客観視して分析することで、やりたいことや「自分らしさ」の発見に繋がります。年表をきっかけに『勝てるデザイン』に興味を持ってもらえたらと思って配布しました。
noteを活用した
『勝てるデザイン』についてのnoteを11記事、書きました。特に思い入れのある2記事を紹介します。
予約をお願いするnote
「著者になると、死ぬほどAmazon予約して欲しくなる」というnoteを書いて、とにかく泥臭くお願いしました。なぜそんなにAmazonで予約して欲しいかと言うと、どうしてもAmazon1位と発売前重版の肩書きが欲しかったからです。
そのふたつがあると書店に本を置いてもらいやすくなって、購入の機会が増えます。また「Amazonでそんなに人気ならすごい本なのかな」「発売前に重版されるなんていい本なのかな」と思ってもらえて、買う理由にも繋がると考えました。
買ってくれた人に感謝を伝えるnote
AmazonレビューやSNSで拾った感想に対して返信をする感想への返信noteは、vol.3までいきました。
Amazonレビューのカウントも定期的にしていて、ツイートで感謝を伝えています。
SNSでの感想も、レビューも、本当に励みになります。買ってくれた人の生の声は、たとえ不満や批判であっても有難いです。
『勝てるデザイン』編集部のサークルを作った
『勝てるデザイン』の制作過程を公開するサークルをnoteで開設しました。本の打ち合わせや取材内容、原稿が一足先に見られる場所です。
みんなと一緒にワイワイ意見を出し合い、ラリーしながら「最強のデザイン本」を作りたいと考えて始めました。
「勝てるグッズ」を制作した
ステッカーを作ってイベントに来てくれた人に無料配布したり、Tシャツやマスクなどを作って限定販売したりしました。身につけた人が広告になってくれる効果もありますが、グッズ制作において重要なのは、一緒に楽しめることだと思っています。
『勝てるデザイン』を購入してくれた人が、グッズを身につけたり話題にしたりしながら、著者である僕も交えていろいろな活動していく。それを見て「楽しそう、面白そう」と思った人が『勝てるデザイン』を購入してくれる循環を期待してグッズを制作しました。
勝てるグッズ番外編『マエディベア』
発売日に合わせて、ばしちかさんにマエディベアを作っていただきました。こちらは非売品です。
『勝てるデザイン』のマスコットキャラクターで、デザイン勉強中のこぐまです。何度も修正していただいて、理想以上のものができました。
マエディベアこそ、勝てるデザインです!
『勝てるデザイン』で、世の中の「勝てるデザイン」を増やしたい
これだけやっても、まだやれることがあるんじゃないかと常に考えています。
ひとりでも多くの人に『勝てるデザイン』を届けることが、ひとつでも多くの「勝てるデザイン」に繋がると信じて、今後も売るための努力を惜しみません。
9月17日には、僕の2冊目の書籍『鬼フィードバック』が出版されます。次も全力で売るための努力をする所存です!応援よろしくお願いします。
〈文=成澤綾子(@ayk_031)/ 編集=浜田綾(@hamadaaya914)/ バナーデザイン=小野幸裕(@yuttan