おいでよ!シュールの森
はじめまして!NASUでデザイナーをしている水上です。
1年半くらい前にNASUに入って、いろんなお仕事を担当させていただいてます。毎日生き生きと仕事させていただき、この場を借りて感謝です。
さて、今回のこの記事のテーマは「スーパーマニアック」。
NASUにはこんな人が働いてるよ!というのをそれぞれの好きなものを通してがっつり紹介するため、与えられたテーマです。ありがたいことですねぇ。なのですが…
紹介するものがねえ!!!!!
記事を書く以前の問題にぶち当たってしまいました。去年の11月くらいにこのテーマが決まって、これを書いてるのが年が明け1月後半です。何やってんねん。アホか。
なんでこんなに悩んでるかというと、私の興味関心が広く浅いからです。だから突っ込んで書くものがない。するとNASUメディア編集長の浜田さんが…
いや、絶対なんかあるよ。掘り下げてみて!
ほんまに??もしかすると広く浅いと思い込んでるだけかもしれない…。
そう思い、今まであまり向き合ってこなかった自分の趣味趣向について考えました。小さい時からやってたゲーム?いや、最近全然やってないな…。食べること?いや、好きやけどそんな書かれへん。大体のもの美味しいと思ってるし。かといってのめり込んでる趣味もないし…。悩んでる間にどんどん迫る締切。やばい、筆が進まねえ!!!!
まだ????
あああああああ!!!!!!!
…。
………。
そんな時、ふとリビングの角で目に入ったのがこれ。
「かっこいいドラえもん」です。
ドラえもんのコミックス第2巻に出てくるひみつ道具「うそつきかがみ」。映す人を極端に美化して褒めて、茶化す道具です。このかっこいいドラえもんは、うそつきかがみでドラえもんのイケメン度が1000%アップした姿なのです。今から12年前の大学生の頃、授業中に買いました。世界最大のガレージキットのイベントである、ワンダーフェスティバル2010で限定800体。発売前にネットで見つけて一目惚れでした。
思い出した。というより初めて自覚した。自分は「シュールなものが好き」なのだと。そう、好きなのはドラえもんでもなんでもなく、シュールなものなのです。
そもそもシュールってなに?
「シュール」という単語の語源は、フランスで1920年代に起こった芸術運動である「超現実主義(シュルレアリスム)」にあります。夢や無意識といった、理性ではコントロールできない世界を客観的に描く作品が多く作られました。ダリやマグリットといった画家が有名ですね。
略語として使われている日本語の「シュール」は、このシュルレアリスムの本来の意味から離れ「非現実的で不条理なさま」を表す形容詞として使われるようになりました。(例「このお笑いはシュールでおもしろい」「シュールなネタだ」など)。それだけでなく、通常では考えられないユニークさや個性的なものを表すなど、本来のシュールの意味から拡大しているようです。
ちなみにこの記事のサムネはマグリットのオマージュです。
なぜこんなに心を掴まれるのか
思い起こせば、シュールなものを手にした一番古い記憶は、小学生の頃に遊んだプレイステーションのソフト「アストロノーカ」でした。
宇宙一の農家を目指す主人公が、ロボットのピート君とともに品種改良を繰り替えし、究極の野菜づくりに励みます。しかし、畑には野菜を食い荒らす害獣「バブー」が時折訪れ、容赦なく畑の野菜を飲み込んでいきます。
このゲームに当時小学生だった私はめちゃくちゃハマりました。
特に好きだったのはその世界観。まず「宇宙」×「農家」というシュールな組み合わせに惹かれたこと、それに野菜の見た目や名前、バブーを退治するための方法、品評会で口の悪い審査員、主人公のライバル…どれも個性的でユーモアにあふれていました。
自分のフェチにぶっ刺さりました。
アストロノーカの醍醐味の一つが、バブーを撃退するため畑の前にトラップを仕掛けること。色んなトラップをバブーの特性に合わせて自由に設置することができます。例えばこの「風船サービス装置」。装置によって風船を取り付けられたバブーは空へ飛んでいき、畑から強制退去させられます。
他にも扇風機で飛ばして川に落としたり、UFOの怪光線でスタミナを減少させたり、紙吹雪で祝福して油断させたり…その平和的な撃退方法と、バブーの反応が楽しくてどんなトラップを仕掛けるかワクワクしながら考えていました。また、トラップを使って巧みに追い返すことができれば高い「芸術点」がもらえます。そうすると野菜の状態が良くなって高く売れ、後述する品評会でもいい評価をもらうことができます。
複数のトラップが組み合わさって上手く撃退できた時は最高の気分です。
品評会では審査員から育てた野菜の評価をもらいます。審査員の端的で切れ味のあるコメントはわかりやすく、時に現実だったら心が折れるであろう評価をもらうこともあります。画像はゴボウ玉という野菜への愛が強すぎてどんなコンクールでもゴボウ玉で挑む農家、アブドゥル・ドゥバ・ドバド。名前も設定もサラッと濃い…。
こんな感じでゆるい世界観とツッコミどころ満載の特徴に心奪われ、その後も非現実的でユーモアのある、シュールなものに惹かれていきました。
心を癒すマイベストシュール3選
私にとってシュールなものは心を癒す効果があります。
現実離れした設定と存在にいい意味で理解が追いつかないので、究極「このままの自分でいいかも」と自分を肯定してくれるような気持ちにさせてくれました。また、何か悩みがあれば不思議と和ませる力もあります。
素晴らしいヒーリング効果。。
小学生時代にアストロノーカに出会い、その後、自分の癒しシュールセンサーに引っかかったものを3つ、ご紹介します。
心の余裕をもたらす「かっこいいドラえもん」
シュール度:★★★☆☆/癒され度:★★★★★
まずさっそく、冒頭でご紹介した「かっこいいドラえもん」がランクイン!
ドラえもんは本来二頭身。でもかっこいいドラえもんはどうでしょう。三頭身強あります。
普段のドラえもんの世界観からすると非現実的。どうしたん。めちゃめちゃかっこいいやん。まつげバチバチに上がってるし、上半身はよく見たら少し逆三角形でガッチリ。ポーズもどことなく紳士で、高級レストランのホールにいてもおかしくない。ちょっと粗相しても、遠くからやさしいウインクで羞恥心を包み込んでくれそう…。
トゥンク…!
思い出して興奮してしまいました。
こんな感じで、本来のドラえもんとのギャップを楽しんでいました。ちなみに同じようなシリーズで綺麗なジャイアン、美男子のび太などもあります。
これを買った当時、私は大学近くの四畳半のアパートに住んでいて、生活必需品以外の物は置いていませんでした。というより、置くスペースもお金もなかったのですが、かっこいいドラえもんだけは心の余裕の象徴として机の上に置いていました。大学の課題に追われて夜な夜なひとり唸っていても、かっこいいドラえもんを見るだけで心の余裕を少しだけ取り戻すことができたのです。
今も昔も変わらず見守ってくれてありがとう…ドラえもん…。
すべての瞬間がシュール「谷口崇さんのアニメ」
シュール度:★★★★★/癒され度:★★★★☆
皆さんは「森の安藤」と言うアニメをご存知でしょうか?
初めて知った、知ってるけどまだ見たことないという方はまず見てください。
これは私が大学生の時に友達に教えてもらったアニメです。
初めて見たときは衝撃的でした。あまりにもキモすぎて(褒めてます)。特に冒頭の蜂がイ○リー岡田なみに舌をペロペロするシーンは初見で頭が真っ白になりました。キモすぎて(褒めてます)。でも、なぜか何度も見てしまうんです。もう見過ぎてエンディングで流れる曲「臭いけどI LOVE YOU」を覚えてしまいました。
あかん、何回も再生してしまう…。
このアニメにハマったのは、先ほど取り上げたかっこいいドラえもんと同様、なんかめっちゃ癒されたんです。とにかく物づくりや将来のことで悩んでいたモラトリアム期間真っ最中の自分にとって、心を空っぽにしてくれる尊いアニメでした。森の安藤さんにはそんなシュールポイントがいくつもあります。私の特にお気に入りをいくつかご紹介します。
・くまの○ーさんを彷彿とさせるクマ
冒頭のクマはおそらく○ーさんからインスパイアされたキャラクターだと思います。一般的に知名度のあるキャラクターではちみつを好んで食べるのは○ーさんしかいません。その○ーさんらしき劇画タッチのクマが開始早々「すみません、はちみつをペロッとしてもいいですか?」と蜂に許可を乞うのです。もうこの時点で森の安藤の世界に一気に引き込まれてしまいました。
クマのなんとも言えない表情も魅力。
・畳の上に魚
谷口さんは間違いなく天才です。
森の中から始まった話なのに、突如海の生きものである魚を登場させるなんて…。クマ、魚、ハチという見たことのない並びがシュール以外の何者でもありません。あと何気にさっきのクマはメタボのようです。
ちなみに大学時代のMacbookのデスクトップ背景はこの魚でした。
今思うと赤身魚と書いてるのでマグロかもしれません。
・谷口さんのめちゃくちゃイイ声
キャラクターのすべての声を作者の谷口さんが担当しているのですが、それがもうめちゃくちゃイイ声で、このアニメの世界観を構成する要素の一つだと思います。特に最後のエンディングで流れる「臭いけどI LOVE YOU」という曲は、ビブラートを効かせた壮大な歌声&メロディーかつ物語の最後に流れるので「なんかよくわからんけどめっちゃイイ話見たかも」という気分にさせてくれます。
ちなみに去年、15周年を迎えて「森の安藤 15周年記念アニメ」が出ました。魚の家族も増えていて、時間の経過を感じます…。
谷口さんの他の作品も熱烈おすすめで、どれも揺るぎない世界観を感じます。
・むきだしの光子
光子をいびる姑のキャラクターが妙にツボに入ってしまい、何度も見てます。ホコリ集めるの上手すぎる。
・名探偵ゴードン
ストーリーの展開の早さと、画面の情報量の多さにツッコミが追いつきません。これもまた何周もしてしまいます。ゴードンの「普通、人間は夜9時に寝ます。」のセリフが好きです。
企業案件も谷口ワールド全開でブレないところがいい!
気分が一瞬で晴れやかに!呼び込み君
シュール度:★★★★☆/癒され度:★★★★☆
スーパーやショッピングモールで、このメロディーを聞いたことが聞いたことありませんか?
これは群馬電機株式会社より発売されている「呼び込み君」という音声POPです。つい最近、この呼び込み君を手軽に楽しめるミニバージョンが出ました。ご存知の方も多いかもしれません。
この呼び込み君、本体こそ持っていないのですが、YouTubeで音声だけは聞けるので、頭を空っぽにする儀式としてたまに聞いていました。
アイデアが浮かばない…ポチッ ポポーポポポポ♪
資料が上手くまとまらない…ポチッ ポポーポポポポ♪
なんか今、気分が落ち込んでるな…ポチッ ポポーポポポポ♪
普段はスーパーなどでしか聞かないメロディーを日常に取り入れると、瞬間、場の空気が変わってシュールになり、鬱屈した気分を強制的に晴れやかにすることができます。そんな癒しの呼び込み君が、なんと手のひらサイズかつボタンひとつで楽しめるようになったのです!!
革命や!!!
パッケージがめちゃくちゃかわいいです。
忘れられないPOPOPO。メロディ再生POPOPO…。
ブラウザを立ち上げて、ブックマークにあるYouTubeにアクセス、保存していた呼出し君のBGMをクリックして再生する一連の手間が省けました。胸にあるボタンをクリックするだけで、POPOPOを瞬間で楽しめます。
小さいながら音もパワフルでクリアです。いつもは一人で楽しんでいましたが、職場に持っていけばみんなで楽しめそう。
そうだ、弊社には「クラブタイム制度」という、EDMとカラフルな照明で踊ってストレスを発散させる制度があります。この制度に呼び込み君をくっつけたいなあ…。
みんなで楽しくポポーポポポポ♪
番外編:そう言えばシュールなものばかり作ってた
そうそう、この記事を書いていて思い出したことがあります。
弊社で運営しているものづくりのコミュニティ前田デザイン室に私は4年ほど在籍しているのですが、そこで制作したものはシュールなものばかりでした。
みんなで作った初めての雑誌「マエボン」の時はダサいTシャツ通称「ダサT」をファッション誌風にしたり、
その次に作った「マエボン2」では雑誌ムー風の怪しい紙面を作っていました。
また、うんちの缶バッジや、パンティを山に貼り付けた「パンティの山」を作ったり。
2年前には「モザイクパンツ」という股間にモザイクのついたパンツを作るプロジェクトのリーダーを務めました。
今思うとどれも自分のシュール好きのフェチに当てはまってた気がします。
「これといって好きなものなんてない」と思ってたのですが、そうじゃなかったんや…。この記事を通じて、自分の好きの原点をひとつ感じました。ありがとうございます!(?)
自分の好きなものをようやく自覚できました。
あなたの日常に「シュール」を
いかがでしょうか。何か気になるものはありましたか?アストロノーカとかっこいいドラえもん以外は手軽に楽しめるものなので、癒されたい時、頭をからっぽにしたい時は日常の中にぜひ「シュール」を取り入れてみてください。特にアイデアが出なくて困る!という時に一度リセットするのにおすすめです。
ぜひ、楽しいシュールライフを!