「耳で観る」体験のすばらしさを伝えるデザイン
パナソニック株式会社
概要
パナソニック株式会社の音声配信サービス「MORPHONE(モアホン)」のロゴ、パンフレット、Webサイトを制作しました。
MORPHONEは、スマートフォンひとつで参加者に音声をリアルタイムで一斉配信できる、少人数向けの音声ガイドサービスです。
アプリや専用端末を必要とせず、QRコードを読み取るだけで利用できる手軽さが特長で、観光ツアーやイベント、工場見学など、さまざまな体験の場で活用されています。
プロジェクトのはじまり
「耳で観ると、もっと世界が広がる」という体験を、どう伝えるか
MORPHONEは、「耳で観る体験」を観光や文化体験へ広げるために開発された音声ガイドサービスです。

その原点には、スポーツ観戦やイベント向けの音声配信サービスCHEERPHONE(チアホン)があります。同じ「耳で観る体験」という思想を受け継ぎながらも、CHEERPHONEが大人数で熱狂を共有するサービスであるのに対し、MORPHONEは、一人ひとりがその場所と深く向き合うためのサービスです。
この違いを最初に整理するため、プロジェクトはロゴの設計からスタートしました。
MORPHONEのロゴは、CHEERPHONEとの関係性を踏まえ、シンボルマークと書体は受け継ぎ、サービス名だけを変更しました。新しいサービスであることを示しながらも、同じ思想と技術を受け継ぐサービスであることを伝えるためです。大きく印象を変えるのではなく、必要な部分だけを切り替えることで、サービス同士のつながりが自然に伝わるロゴを目指しました。

NASUの目論見
「機能」ではなく、「体験」から語る
MORPHONEは、音声によってその場所にある物語や背景を知ることで、「耳で観ると、もっと世界が広がる」体験を提供するサービスです。ただ情報を聞くだけではありません。同じ景色でも、音声が加わることで見え方や感じ方が変わり、その場所との向き合い方そのものが変化します。
しかし、その魅力を機能として説明してしまうと、旅や場所が持つ情緒が薄れ、「どんな体験が得られるのか」が伝わりにくくなってしまいます。
さらに、CHEERPHONEと同じ技術をベースとしているため、違いが見えなければ「CHEERPHONEでよいのでは」と感じられてしまう可能性もありました。
そこで今回のデザインでは、まず「耳で観ると、もっと世界が広がる」という体験を伝え、その後に「スマホだけですぐ使える」という手軽さを伝える構成としました。
一般的なサービス紹介のように機能から説明するのではなく、まず体験価値を共有したうえで機能理解へとつなげることで、MORPHONEならではの魅力が自然に伝わる情報設計を目指しています。

目論見に基づいた制作物のご紹介
体験の価値を伝えるビジュアル
ブランドの土台を整理したうえで、次に取り組んだのは、MORPHONEならではの体験をどのように伝えるかでした。
そのために用いたのが、イラストと写真です。MORPHONEの体験価値を伝えるため、写真とイラストそれぞれに異なる役割を持たせています。
イラスト|写真では伝えられない体験を描く
イラストは、やわらかな線で全体の印象を整えるだけでなく、音声という目に見えない価値を視覚的に伝える役割を担っています。
MORPHONEの魅力は、音声によってその場所の物語や背景を知り、世界の見え方が広がることにあります。しかし、その変化は写真だけでは表現しきれません。そこで、ガイド、旅行者、耳、音の流れなどのモチーフを用いながら、音声によって世界の見え方が広がる様子をイラストで表現しました。体験の変化を直感的に伝えることで、サービスの価値をイメージしやすくしています。


一方、サービスの特徴や使い方を説明する場面では、情報を整理するためのイラストを用いました。利用シーンや、距離を超えて音が届くこと、従来の機器が不要であることを視覚化し、文章だけでは理解しづらい内容を直感的に伝えています。

写真|利用シーンを具体的に伝える
写真は、MORPHONEを利用する場面を具体的に想像できるよう、実際の体験シーンを中心に構成しています。
イラストが音声による体験の広がりを表現する一方で、写真は「どんな場所で、どのように使われるのか」を伝える役割を担っています。体験のイメージと利用シーンのリアリティを両立することで、サービスの価値を直感的に理解できる表現を目指しました。(写真提供:パナソニック株式会社)




体験のイメージから、理解へつなぐ構成
Webサイトでは、最初に表示される画面からその次の画面にかけて、「耳で観ると、もっと世界が広がる」というメッセージを起点に、動画やコピーを用いて体験の変化を描き、音声が加わることで生まれる世界観の広がりを伝えています。(映像提供:パナソニック株式会社)
機能説明に入る前にそのイメージを共有することで、MORPHONEを使うことで得られる価値を、直感的に想像できる構成としました。

体験のイメージを共有したうえで、機能紹介のセクションへと進みます。
アプリや専用端末が不要であることなど、音声配信サービスとしての手軽さを整理し、体験を支える要素として機能を位置づけた構成としています。

本サイトはWixを用いて実装されています。体験の変化を伝えるコピーや映像、利用シーンを想起させる写真表現を組み合わせることで、MORPHONEならではの価値が自然に伝わる構成を目指しました。
Wixという環境の中でどこまで体験価値を表現できるかを検討しながら、実装上の制約にとらわれず、表現の可能性を引き出したWebサイトとなっています。
手に取って体験を感じられる表現
パンフレットでは、Webサイトと共通した世界観を保ちながら、紙媒体ならではの読みやすさを意識して構成しています。

パンフレットの役割は、サービスの機能を細かく説明することではなく、MORPHONEがもたらす体験や手軽さを直感的に感じてもらうことでした。展示会などで短時間のうちに手に取ってもらうことを想定し、情報を詰め込むのではなく、伝える内容を整理しながら構成を検討しています。
見開きごとに伝える内容を整理し、最初にコピーや利用シーンからMORPHONEの価値を感じてもらい、その後にサービスの仕組みや利用方法へと進む構成としました。一度に多くの情報を伝えるのではなく、ページを追うごとに理解が深まるよう編集しています。
また、ロゴから展開したコードのモチーフや写真・イラストを紙面全体に取り入れることで、Webサイトとも共通した世界観を表現しました。






制作概要
- クライアント
- パナソニック株式会社
- クリエイティブディレクション
- 前田 高志
- ロゴデザイン
- 前田 高志
- カタログデザイン
- 前田 高志, 際 めぐみ
- Webディレクション
- 小島 由似
- Webデザイン
- 小島 由似, 渡辺 莉緒(NABEs Design)
- 構築
- 渡辺 莉緒(NABEs Design)
